帰国生入試の受験準備を行うのに最適な環境とは?vol.15 ―帰国生大学入試についてvol.84―

(2012年5月14日 16:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回前々回の記事では、「人数の多い環境」でよく見られる、教師から生徒への一方向的な情報伝達を主な内容とする授業形式が、小論文試験対策を必要とする受験生に何を与えるのかということを検討しました。これは昔から見られる授業の実施方法であり、その問題点はよく指摘されるところですので、今では生徒に対するより細かなケアができる形が考案されている可能性もありますが、それでも「人数の多い環境」は小論文試験を受ける人の受験準備の場としては適切なものではないと僕は考えています。


先日、高校時代の恩師と食事をする機会があり、僕がSOLで何に取り組んでいるかということを報告したり、母校の現状などを聞いたりしました。そこで話に出たのが、僕の通っていた高校でも小論文試験を含んだ入試を受験する人がいるが、その対策を指導できる教員がいないため、大学で教員をしている講師をアルバイトという形で招いて短期間の集中授業を担当してもらっているということです。そして、僕も日頃から小論文の授業を担当していますので興味深く思い、授業での指導方法やどのような課題を中心に取り扱っているのかといったことなどを訊いてみたところ、その先生はいくつもの高校や予備校での仕事を掛け持ちしているという話になりました。


このエピソードから分かることは、大学受験生を指導する現場に小論文対策の学習を指導できる人がそれほど多くないということです。これは、これまでの日本における教育制度や教員が一定の知識を生徒に定着させることに注力してきており、生徒に自発的に自分の考えを表現する機会を与えるということが重要であるという考えを持っているようには思えないことを考えれば、無理のない話なのかもしれません。実際に、日本の高校に通う生徒からは、帰国生入試やAO入試の受験に積極的に関与しない教員が多くいるという話を聞きますし、大手予備校からSOLに移ってきた生徒の話では、前に在籍したところでは小論文の教師が複数の校で授業を担当しており、授業が終わった後に質問に行っても対応してもらえないことが頻繁にあるということです。


「帰国生大学入試について」のvol. 81でも述べた通り、小論文試験に向けた準備において最も重要なのは、生徒が1つのトピックに関する小論文を何度も書き直すなどの形で試行錯誤を繰り返すことができ、生徒がよい小論文を書けるようになるまでそれに付き合うことのできるだけの精神的・時間的余裕が教師の側にあることです。しかも、自分の考えを説得力ある形で読み手に示すのに必要なものを認識する瞬間がいつ訪れるかということは予測の難しいことですので、授業時間内であろうとなかろうと、教師が一人ひとりの生徒がどのような局面に立っているのかを理解し、その学習を十分にサポートできる状況が不可欠だということになるでしょう(授業外でのサポートとしては、生徒が持ってくる質問に対応したり、それまでに書いた小論文の答案を見て、一つ一つの文章が抱えている問題点や生徒の持つ癖や傾向を確認し、それらを克服するためにすべきことを示したりするということなどが考えられます)。


この点、「人数の多い環境」でも上で述べたようなサポートを生徒に対して行うことが可能になるだけの教員がいれば問題はありませんが、小論文試験に向けた学習においてこのような条件を満たすことは(少なくとも現在の日本では)難しいことのようです。このようなことを考えると、受験準備を行う教育環境を選択する際に、受講生の数が多いところには、授業は担当せず質問に対応したり添削だけを行ったりするパートタイム的な人とは別に、小論文授業を担当できる教師が生徒数に比してどれぐらいいるのかということを確認することが必要になるのだと思います。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/



トップへ戻る