北半球の高校生の受験準備に関してvol.8 ―帰国生大学入試についてvol.150―

(2013年1月24日 15:35)

こんにちは。SOLの余語です。
前回前々回の記事では、日本の大学の帰国生入試の多くは出願手続きの際に提出するSATなどの成績よりも、入試会場で実施される筆記試験や面接試験の結果が最終的な合否判定に与える影響が大きいということを述べました。そのようなことは帰国生の大学受験準備を指導した経験のある人には自明のことのはずですが、今回の記事では高校を卒業するまでの間にできることで上のようなカテゴリーに分類される入試で合格するのに直接的な関連性を持っているものは何かということを取り上げたいと思います。


帰国生入試の筆記試験には英語試験があるのが一般的です(もちろん、その他の外国語試験が用意されているところもあります)。各大学の英語試験の出題傾向や水準などを確認すると、早稲田大学の帰国生入試のものが最もレベルが高いものの一つです。この試験は数年、記号で答える形式の読解問題や空欄補充問題、正誤判定問題で正答を見つけるのにそれほど手間や知識を要しないものが出題されていたものの、今年度のものは以前のように難度の高いものとなりました。ただし、そこで用いられている単語や表現のほとんどはTOEFL iBT対策のテキストで見られるもので、僕らもそのReadingやWritingのスコアを踏まえた形で生徒がこの大学のそれぞれが入学を希望する学部に合格するために十分な学力を持っているかを判断しています。


TOEFL iBTは英語運用能力とはどのようなものか、またそれをできるだけ正確に判定するにはどのような形式のテストが理想的かということに関する様々な研究成果を基にETSが作成したもので、英語圏の大学でも海外からの入学希望者の英語運用能力についての判定にこのスコアが用いられるため、早稲田大学がその出題方針に従った形で入試問題を作成していることは正しいことだと思います。その他の大学では和訳問題が出題されることもありますが、基本的に早稲田大学に合格できる程度に文章読解力が身に付いていれば、後は2ヶ月程度、英文を日本語文に移し換える練習を積めば、英語試験で合格に必要な点数を取得できる見込みがつくものです。


また、上で述べたような、TOEFL iBTが受験生の英語運用能力を測るのに最も適切な試験であるという認識が広まったためか、首都圏の難関大学の中には英語試験を廃止し、TOEFL iBTのスコアをその代わりとするところも少なからず存在します。例えば、ICUや明治大学、法政大学の各学部や中央大学商学部が実施する4月入学者を対象とした帰国生入試がそれに当たりますし、早稲田大学政治経済学部のAO入試や中央大学経済学部の自己推薦入試なども同様です。これらの入試の中にはTOEFL iBT以外の英語運用能力試験で取得したスコアや級を提出することが可能なものもありますが、TOEFL iBT対策の学習を行うことはそのまま帰国生入試の英語試験対策になる場合が多いですし、TOEICはスコアが受験生の英語運用能力を忠実に反映しているかについて疑問を持たれている節がありますので、TOEFL iBTのReadingやWritingでできるだけ高いスコアを取ることを学習目標にすることが望ましいと思います(ただし、英語運用能力が一定の水準に達していない場合には、TOEFL iBT対策を行なう前の準備段階としてTOEICの文法に関する問題や読解問題に取り組みことに意味があります。それについては次回以降の記事で述べる予定です)。


実際の入試における出題傾向や入試形式のあり方などを考えると、筆記試験や面接試験の結果が重視される多くの大学を受験する場合に、TOEFL iBTの上で紹介した2つのパートで十分なスコアが取れていないのであれば、まずはその対策を行なうことが最優先事項となります。特に、早稲田大学の帰国生入試を受験する予定の人はReadingとWritingの合計点が55に届くことを目標に対策学習に取り組んでください。


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