今年も青谷准教授のセミナーに参加してきましたvol.10 ―英語学習の勧めvol.131―

(2013年6月12日 18:00)

こんにちは、SOLの余語です。
前回は、英語を日常生活の中などで使用する経験を蓄積する際に、その運用能力を向上させることを目標とするならば、自分が表現したかったのに実際にはできなかったことは何かということに意識をおくことが重要であるという、京都大学の青谷准教授の話をお伝えしました。青谷先生は自分に不足しているものを明確にするための方法として日記を毎日付けることを推奨されていましたが、自分の英語運用能力の現状について落ち着いて考察できるという点で僕も望ましいものだと思います。


さて、青谷先生は英語学習の理想的なメソッドとして、TOEFL iBTのスピーキングセクションで見られるような、与えられたトピックに関しての自分の考えを15秒考えた後に、45秒かけてそれを口頭で表現するという作業をトピックを変えながら繰り返し行なうというものを他に勧めていました。この背景には、言語の原初的な形態は書き言葉でなく話し言葉であることや、上のように話の内容を構想する時間を短く限定した上で、それよりも長く途切れることなく話し続けるように努めることが、脳に学習効果的に適切な負担をかけるということがあるようです。確かに、言語学習の研究において、人が何かを話したり書いたりするまでの間で脳の中において経ていると考えられているプロセスを考慮すれば、これは英語運用能力の向上に資する学習法と言えるでしょう。


ただし、この学習法では、自分が発話した英文が文法や語法に適ったものであるかということが判断されなければあまり意味があるものにはなりません。そのため、学習者が個人的に実践するのであれば、英語学習の知識的な側面についてある程度の水準に達していることが不可欠な条件であり(4年前のセミナーではまさにこの点について語学学校の教師から質問が出ました)、この点で上級者向けのものと言うことができますし、そのような条件を満たせないのであれば、誰か信頼の置ける教師から個人的に指導を受けることができる時間を確保しなければならないということになります。そして、この教師となる人の資質としては、自らが英語に堪能な英語圏のネイティブのような人であるだけでは十分とは言えず、英語を外国語として学ぼうとしている人に文法や語法を理解しやすい形で説明できることまで求められることを考えると、実行に移すためのハードルは高いように思われます。


なお、海外で日本人が多く滞在する地域には、日本人の英語学習の指導をした経験を豊富に持つネイティブの家庭教師がいることが多いですが(僕がロスアンゼルスで住んでいた地区もそうでした)、そのような人の中には上で述べた条件を満たせる人がいるかもしれません。スピーキングのトレーニングを中心に学習を進めたいのであれば、実際に指導を受けたある人に評判を訊いてみるのがよいでしょう。


それでは、今回の内容について、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


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