小論文試験が大学入試の試験科目とされることの意義についてvol.2 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.71―

(2013年8月30日 16:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、ICUの一般入試で、来年度の4月入学者を対象としたものから小論文試験が含まれる予定になっていることを取り上げ、有名国立大学や私立大学の間でそのような動きが広がりつつあることを述べました。僕らは小論文試験に向けた準備を行なうことに望ましい学習効果が期待できることから、選択的に帰国生入試やAO入試の指導を行ってきましたが、具体的に受験生が何を得られるのかということを今回からは説明していきたいと思います。


従来の一般入試を受験した人が大学に入学して戸惑うことの一つに、そこで展開されている学問活動の質が高校でのものとは大きく異なることがあります。高校の授業や予備校での一般入試対策では、過去問で扱われたものを中心に各科目で重要とされる知識を記憶していくことが主になる一方で、大学では定期試験や授業で出される課題において、与えられたトピックに関する自分の考えを文章化することが求められますし、卒業資格を認定されるためには10,000字以上の論文を提出しなければならないという大学がほとんどです。


高校から大学に移る際に見られる、このような学習活動のあり方の変化は以前からのもので、それに対応できない学生はほとんどいないはずと思われる向きもあるでしょうが、実際にはこのような考えに反するような話を耳にすることが少なくありません。例えば、上智大学文学部のドイツ文学科には、授業を履修した学生の大半に単位を与えないことで有名な教授がいて、その先生は常日頃から、論文の書き方を分かっている学生が少ない、そのため単位が認められる人の数も少なくなると嘆いているそうです。


大学受験の準備を含めた高校生活で、論文を書くという作業をする機会が一般入試を受験する人にはあまりないこと(そして、上智大学でも小論文試験が一般入試の科目になっていないこと)を考えると、上のような話は酷な気もします。しかし、大学が高等教育機関であり、社会や企業を支える人材を育成することを目的にしているのなら、ある問題に関して自分なりに考え、その結果を他人が理解し納得できる形で提示できることを学生に求めるのは仕方のないことです。


この点、なるべく早い段階で大学での学問活動に違和感なく取り組めるようになるには、受験準備の中で文章を書く練習を蓄積しておくことが望ましいと思われます。また、大学で論文作成の練習を行なえる機会は通常、大学3年次にゼミに入ってからになるということを踏まえると、小論文試験に向けた大学入学前の重要な取り組みの一つと考えるべきとも言えるでしょう。


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