10月12日から10月16日までのグループ指導について―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 123―

(2020年10月12日 10:45)

こんにちは。SOLの余語です。
7月の中旬からここまで毎日の授業を担当するのに合わせて、面接試験の準備や志望理由書の作成のサポートを行ってきました。そのような日々の中で、ある大学の英語・英米文学系の学部に出願する生徒が志望理由書を書くのを手伝う機会がありましたが、その際「自分の母語ではない英語でディスカッションに参加すると、相手の言っていることを理解することに意識が向いてしまい、その内容の一貫性や論理性などを批判的に検討することが難しく感じられる」という一文に目が留まりました。

この生徒は英語が主に使用される環境で長い期間学んでいて、IELTSの成績も順調に伸びているのですが、上で述べた状況以外に、限られた時間の中で(高校生から見て)内容が複雑な文章を読む場面などでも同じような印象を持つそうです。彼女のような経歴を持つ人がこのような問題に直面するというのは意外だと思う人もいるでしょうが、国際共通語とされる英語で専門的な学習をしている日本人が増加している現在でも重要な問題を扱う国際的な交渉の場では通訳が大きな役割を果たしていますし(大学に通訳士を養成するコースが存在することはそれを裏付けるものだと考えられます)、現在の第二言語習得論の研究では、母語でない言語を使ってコミュニケーションを取る場面において人間は自分が読んだり聞いたりしたものを一度母語に変換してから理解している(外国語の習熟度が高い人もこのプロセスにかかる時間が短いだけである)という考え方が有力な学説となっていることや、英語と日本語の言語学的距離は遠くどちらを母語にしていてももう一方の言語を学ぶのは最も難しいとされていることを考えるとそれほど不思議なことではないかもしれません。

このようなことを書くと、拙い英語で話していても様々な分野で国際的に能力を高く評価されている日本人がいるではないかと言う人もいます。しかし、多くの場合、彼らを支えているのは自分の母語である日本語で習得した高度な専門的知識や批判的思考力、そして「自分が重要だと思うことについてとことん追究したい」という強いモチベーションです(すでに何らかの形で業績を上げた人の場合には、周りが敬意を持って接してくれることも大きな意味を持っていると思われます)。これまでいくつかの記事の中で述べてきましたが、例えば学問的な研究に取り組んでいる人が見せる上のような能力や姿勢はこれまで主に大学で母語やそれに言語学的な距離が近いものを使って身につけることが期待されてきたものであり(高校でこのようなことを目標にしたプログラムを採用しているところもありますが、大学で専門的な学びをするための準備をするという色合いが強いようです)、少なくとも高校生の段階では今回取り上げた生徒のように「自分の母語ではない言語で学ぶ中では母語を使った時のようには考えが十分に深まっていかない」と感じる人がいてもおかしいことではないと思います。

さて、今週のグループ指導の実施についてですが、季節が夏から秋に入り気温や湿度が下がってきていることが関係しているのか、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスへの感染が新たに判明した人の1日当たり数が増えてきています。ただし、現在のところ、今年の3月や7月に見られたようなペースではないため、ここ1ヶ月と同様に、公共交通機関を利用して教室に来る場合でも、新宿や渋谷などのターミナル駅を使わないのであれば対面での授業に参加してもらい、それが難しいケースではオンラインでの授業を受けてもらうこととします。

また、オーストラリアやニュージーランド、フィージーといった南半球の国で学ぶ人を中心に大学受験に向けた準備をどのように行うべきかということについての情報を集めることが多い時期の一つですが、SOLでは個別面談を上で述べたのと同じ方針で実施していますので(海外からの場合はオンラインで行うことになります)、ご希望の方は以下のフォームよりご連絡いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

【個別面談お申込みフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form2.html

それでは、帰国生大学受験セミナーのグループ指導の内容や日程などに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

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