受験する大学や学部・学科の選び方について(2) ―帰国生大学入試についてvol. 247―

(2020年5月7日 19:30)

こんにちは。SOLの余語です。
先週、早稲田大学の法学部や商学部、教育学部、人間科学部で実施される帰国生入試や政治経済学部のグローバル入試の入試要項が公開されました(社会科学部のグローバル入試のものは4月の初めに閲覧が可能になっています)。詳しい内容については今後の記事で取り上げたいと考えていますが、TOEFL iBTやIELTSのスコアの有効期間が伸びたものの、入試日程は例年通りということのようです。このまま変更がないようだと、少なくともオーストラリアやニュージーランドといった南半球の国の高校に通う人の受験に悪影響が出るのではないかと憂慮しています。

さて、受験する大学や学部・学科を考える際に、各大学に対する社会的評価やイメージや入試の難易度ばかりを気にかけてしまう人が少なくないようです。しかし、大学で参加できるプログラムや課外活動などに強い魅力を感じているというようなこと(例えば、SOLの今までの生徒だと、海外でプレーしてきたスポーツの強豪チームの一員になりたいという希望を持っている人がいました)がないのであれば、「自分が大学のどのような学部・学科で何を学びたいのか」、もしくは「どのような学部・学科で学べることについて強い興味や関心を抱けそうか」ということもしっかりと考えた方がいいと我々は考えています。

日本では以前から、大学を受験した時に学びたいと考えていたことと所属する学部・学科で実際に学べることの間にミスマッチが存在することを学生が感じてしまうというケースがあることが指摘されてきました。このようなミスマッチは、授業を真剣に受けなかったり大学に来なくなったりする学生を生むことにつながるだけでなく、極端な場合、他の大学や学部・学科を再受験するように促してしまうこともあるようです(先日、インターネット上に首都圏の私立大学の入学定員数に関する規制と再受験者の増加の関連性についての記事が掲載されていましたが、このような規制が実施される前にも再受験者の数が増えてきたことを問題視するものを度々見たことが記憶にあります)。

海外の高校に通っている人は、日本の一般的な高校に通う場合とは異なり、日々の授業に大学で学ぶことの入門編と呼べるものがあるため、このようなミスマッチが起こる可能性は低いように思えます。この点、SOLには例年、受験準備を行っている期間に大手の予備校や塾を辞めて来る人がおり、彼らから例えば経済学部と法学部、文学部というような形で学べることの異なる学部・学科を併願している人が周りに多くいたという話をよく聞きますので、大学入学前にイメージしていた学生生活と実際に大学において得られるものの不一致が原因で学習意欲を失ってしまっている人が少なからずいるのではないかと考えています。

大学は何らかの専門分野に対する知識を得たり資格を取得することを目的にした学習をしたりするためだけの場ではありません。学者という批判的精神と合理的な思考力などを持って学問的な問題に関する答えを様々な角度から追究しているプロフェショナルから授業で話を聞いたりゼミの時間で指導を受けたりすることなどによって、社会に出る前に、物事に対する考えや理解を深めていく方法や姿勢を自分の中にじっくりと定着させていくための機会を提供してくれるという場でもあります。このような素養を高めることは社会情勢が大きく変化していくと言われるこれからの時代を生きていくために必要不可欠なものであるということを踏まえると、4年間の大学生活を無駄にしないよう自分の学問的な関心や興味に対する考えを深堀りしていくべきだと思います。

※もちろん、大学に通う中で友人ができ、彼らとの関係を維持するために授業に出ている中で興味や関心を持つことができるものと出会うということはあると思いますが、新型コロナウィルスの感染拡大によってこれまでの社会生活をすぐに取り戻すことが難しいと言われている状況では、大学受験の準備をする中で「大学で何を学びたいのか」ということを時間をかけて考えることの重要性が高まるはずです。

受験する大学や学部・学科を決める中で「大学でどのようなことを学びたいのか」という問題について考えることが重要だと考える理由は他にもありますが、それについては次回の記事で説明したいと思います。日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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