TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(3) ―英語学習の勧めvol. 172―

(2020年7月29日 09:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験の準備を進める際にそこで用いた一つ一つの教材について時間をかけて復習をすることの重要性についての説明をする前提として、海外の高校で学ぶ受験者がスコアの伸び悩みに直面することの多いTOEFL iBTのReading Sectionで出題される問題がどのようなものかを確認しました。このテストで取り上げられる文章は初歩的なものであるとはいえ学問的なものですので、与えられた時間内に正しく読みこなすためには語彙や表現の知識や文法に対する理解について一定の蓄積が必要になります。

一方、IELTSのAcademic Moduleは英語圏の大学で学ぶために必要な水準の英語運用能力が身についているかを測るというTOEFL iBTと同じ目的で実施されている試験で、このテストを作成した機関のあるイギリスだけでなく、カナダやオーストラリア、ニュージーランドの高校で教師が受験を推奨することもあり、このところ受験者の数が大幅に増加しています。SOLの帰国生大学受験セミナーの授業を受けている人は中学校や高校からこれらの国々に単身留学している人が多いため、オンラインでの個別指導やグループ指導での英語の授業でIELTSの対策を行うことがここ4、5年で増えたように感じます。

このテストのReadingで出題される文章は3つあり、一つ一つの文章の長さはTOEFL iBTのReading Sectionのものと大きな違いはありません。ただし、TOEFL iBTと同じようなある学問における入門的な内容の文章(書かれていることを理解するのに一定の専門的な知識を身につけていることが求められるものも見られます)だけでなく、一般的な新聞や雑誌で見られるようなレポート的な記事や多くの読者を想定した形で出版された本の書評、ある人物の足跡を追った文章というように、出題される文章の内容や形式に関するレパートリーが広いということもその特徴の一つです。

そのため、中には使われている語彙・表現や一つ一つの文の構造の複雑さという点で内容を正しく理解するために求められているものの水準が比較的低いものが見られ(このような試験で出題されるものとしては短い文だけで構成されているものもたまにあります)、それが受験者にTOEFL iBTと比べるとIELTSのReadingの方が取り組みやすいという印象を与えるようです。しかし、1回のテストで出題される3つの文章の少なくともいくつかは必ず学問的なものであり、そのテーマも多岐に渡るので、高いスコアを取りたいのであればTOEFL iBTと同様に語彙・表現の知識を蓄積し、文法事項に関する理解を一定の程度まで深めていかなければなりません。

このような文章に合わせて出題される問題は、受験者が文章の内容を正しく理解できているかを確認することを主な目的としています。そして、文章の中で見られるものと使われている単語や表現が少しだけ異なる1つ、または複数の文(やその断片)にある空欄を埋めるというもののように答えがどこにあるかが特定しやすく、正答率を上げるのがそれほど難しくないものもありますが、段落ごとにそこで書かれていることは何かを問う問題(段落全体の内容のまとめが必ずしも正解にならないところが厄介なところです)や、与えられた文が文章の内容に合致しているか(もしくは文章中でふれられていないか)の判断が求められるもののように、文章のどこで何が語られているかを正確に理解していないと対応が難しいものがあり、海外の高校で学んでいる人であっても苦手意識を持つことが少なくありません。

IELTSのReadingには、TOEFL iBTに比べて取り組みやすいところがあるため、このテストを受験する帰国生が増えていますし、僕らも受験を勧めることが多いのですが、高いスコアを取るには、30分くらいで3つの文章全体の内容を把握しなければなりません。そのようなことを考えると、TOEFL iBTと同じように、受験者には語彙や表現の意味や用法、文法事項に対する理解を深めておくことが求められていると言えるでしょう。

それでは、次回は、これまでに紹介した2つの英語運用能力試験とは異なる趣旨で実施されているTOEICのReadingの特徴について説明したいと思います。TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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