青山学院大学の海外就学経験者入試について ―帰国生大学入試についてvol. 268―

(2020年9月25日 11:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、上智大学の海外就学経験者(帰国生)入試の特徴について述べました。この入試では、出願資格を得るのに必要とされる外国語運用能力試験の成績だけでなく筆記試験の形式、合否判定の際に重視されるものなどが学科によって大きく異なります。そのため、遅くとも7月中旬までには志望する学科を決め、そこで合格するのに必要とされるものをそろえていくという形で受験準備を進めていきましょう。

さて、今回は例年、日程的にICUや上智大学の次に実施される青山学院大学の海外就学経験者入試を取り上げたいと思います。この入試は数年前まで総合文化政策学部や経営学部を除くほぼ全ての学部で実施されていましたが、経済学部や地球社会共生学部などが募集を停止し、今年度は文系学部に限定すると、文学部日本文学科や法学部、国際政治経済学部のみで行われることになりました。他大学の帰国生入試やAO入試と併願する人も多いため、合格するには出願手続きに提出する英語運用能力試験の成績や筆記試験の出来に関して比較的高い水準のものが必要です。

この入試では、文学部日本文学科ではTOEFL iBTやIELTSなどのスコアの提出が求められていませんが、国際政治経済学部や法学部では英語運用能力試験のスコアや成績について学部が定める基準を満たすことが求められます。また、それに合わせてドイツ語やフランス語、スペイン語、中国語などの検定の成績を提出できれば出願資格を得ることも可能で、英語が主な使用言語ではないカリキュラムで学んできた人でも出願しやすいという点は上智大学の海外就学経験者入試と同じですが、このような形で出願する場合、TOEFL iBTやIELTSなどの成績に関する基準が少し低くなるものの、英語に日常的に触れていない人にとって高いものになっているのが難点です。

合否の判定は学部によって異なる形で行われます。文学部日本文学科では筆記試験の出来が重要となり、対策としては古典の学習に力を入れなければなりません。一方で、法学部は事前に提出した外国語運用能力試験の成績と小論文試験で書いた文章で判断がなされますが、前者に関してはTOEFL iBTでは85、IELTSでは6.5というのが一つの目安であり、小論文試験では法学という学問領域において考察を深めるべき問題についての文章が出題されることが多いため、受験準備の中で法学の入門書的な位置付けにある書籍などを読むことによって専門的な語彙や法学におけるものの考え方に親しみを持っておくことが必要になります。

また、国際政治経済学部では審査が2段階に分けて実施され、まずは外国語運用能力試験の成績で足切りがなされます(これについてはTOEFL iBTで95点、IELTSで7.0以上のスコアを持っていることが望ましいでしょう)。そして、第1段階の審査を通った受験生を対象に小論文試験と面接試験が実施されますが、小論文試験には参考になるような文章がついておらず、そこで提示された条件に合うような事件や現象を自ら提示できる能力があるかが問われる問題を出題することが多くあります。そのため、「朝日キーワード」のような現在の国際社会で問題になっているトピックを幅広く取り上げた本や、戦後の世界史について取り扱った本(漫画でも構いません)などを読んでおくのが望ましいです。

出願手続きにおいては、外国語運用能力試験の成績が期日内に大学に到着するよう手配することとともに、保護者の仕事の都合で海外に行った人の場合には、保護者の在籍する企業に海外での滞在期間に関する証明書(大学所定のフォーマットがあります)を作成してもらわなければならないことに注意してください。また、大学での学習計画を350字程度で説明することが求められますので、自分の学問的な関心を明確にした後にパンフレットなどでどのようなコースや授業があるかをしっかり確認するようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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