TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(7) ―英語学習の勧めvol. 176―

(2020年9月9日 10:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、英語の単語には一つのイメージから派生した複数の意味を持つものがあることや、語源が異なるために形や発音は同じではあるものの全く異なる意味で使われるものがあることを述べました。語源が異なるものは当たり前ですが、中核的なイメージがあるものでも(例えばfastが「速い」というすぐに思いつく人が多いもの以外に「固定して動かない」という意味があるように)そこから想像することが難しい意味があり、そのようなものに出会った時には辞書で細かく確認することが必要になります。

さて、単語の学習を進める際には、その意味を覚えていくだけでは十分とは言えず、一つ一つのものが持つ属性にも意識を向けなければなりません。例えば、文の中で単語が果たす機能に着目して分類したグループを「品詞」と呼びますが、英語には代表的なものとして「名詞」(noun)、「動詞」(verb)、「形容詞」(adjective)、「副詞」(adverb)、「接続詞」(conjunction)、「前置詞」(preposition)というものがあります。単語の知識を実際に英文を読む場面で活用できるものにするには、これら一つ一つの「品詞」がどのような役割を持っているかを確認した上で(例えば、「形容詞」は明鏡国語辞典によれば「事物の性質・状態、人間の感覚・感情などを表す」語であり、beautiful、sleepy、fierceなどがこのグループに入ります)、学習の対象としたものがどの「品詞」として使われるかまで見ていく必要があります。

※SOLでは英語の授業において、日本の高校や塾の授業で見られるような専門用語をできるだけ使わないようにしていますが、「品詞」の名前を知っていることは辞書で単語の文中での役割を調べる際に必要なことなので、生徒に覚えるように指導しています。

この点、英語運用能力試験のスコアが一定のところから上がらないという問題に直面している人が学習しているところを見ていると、ある単語がどの「品詞」に分類されるかについての確認を怠っているだけでなく、例えばsolemnという単語の意味を「厳粛」で覚えようとしている場面に出くわすことが珍しくありません。特に、学習の初期段階では調べなければならないものの量が多くなってしまい、学習者に対する負荷が大きなものになりがちなので、一つ一つの単語の「品詞」を確認するところまで手が回らないかもしれませんが、せめて意味の説明の中でそれを示すもの(上の例で言えば、「厳粛な」の「な」です)まで記憶するようにした方がいいと思います。

なお、「品詞」を確認する際に注意しなければならないのは、一つの単語は一つの「品詞」に分類されるという関係が必ずしも成り立たないということです。ある単語が複数の「品詞」としての性格を持っていることは決して珍しいことではなく、implementという単語は「名詞」としても(「道具」)「動詞」としても(「実行する」)使われますし、極端なケースではroundのようによく見られる「形容詞」(「丸い」)、「副詞」(「回って」)、「前置詞」(「~をひとまわりして」)といった用法以外に、「名詞」(「丸いもの」)、「動詞」(「丸くする」)でも使われることがあるものも見られます。

このような単語の「属性」には、他にも動作の対象が必要な動詞か否か、どのような前置詞や副詞とセットになることが多いのかなどがありますが、一口に「単語の学習をする」と言っても、そこで得たものを「活きた知識」にするためには、ここまでに述べたような用法にまで気を配らなければなりません。このようなことを踏まえると、1回の学習機会でより多くのことを吸収できるような学びのあり方を考えていかなければならないと思います。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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