横浜国立大学経済学部の外国学校出身者選抜について ―帰国生大学入試についてvol. 283―

(2021年1月15日 18:10)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、法政大学の様々な学部で実施されている特別入試について、海外の高校で学んだ人が受験することの多いGIS(グローバル教養学部)の自己推薦12月入試や経済学部の英語外部試験利用自己推薦入試の特徴を説明しました。この2つの入試では、大学が指定する英語運用能力試験の成績が高い人ほど合格可能性が高まります。また、GISのようにリベラルアーツ的なカリキュラムを採用しているところでは、志望理由書で1つの社会的なテーマについて複数の視点から考察を深めたいということを説明するのが大学から好意的に受け止められるようです。受験を考えている人はこれらの点に注意して準備を進めていきましょう。

さて、今回は首都圏の国立大学の中で最も早い時期に帰国生を対象とした入試を実施しているところの一つである横浜国立大学経済学部の外国学校出身者選抜を取り上げたいと思います。国立大学には一般的に私立大学と比べて少人数制の授業が多くあるという魅力がありますが、この大学もその例外ではありませんし(SOLの以前の生徒の中には1人の教師に対して学生が1人という授業を受けていたという人もいます)、経済学部はもともといくつかの学科で構成されていたということがあり、1、2年次で経済学の基礎的な事項を習得した後に2つの専攻を選んで自分が関心を持っている問題に関する考察を深められるというカリキュラムを採用しているという点でも理想的な学習環境を提供していると言えます。

この入試は、合否の判定が2段階で行われ、1段階目である書類審査では卒業した高校が採用している教育制度における大学入学資格を取得するための統一試験(教育制度によっては、これに加えてTOEFL iBTなど)の成績の提出が求められます。今年度は新型コロナウィルスの感染拡大によってSATを受験する機会を確保できなかった人がいますし、IB Diplomaコースの最終試験が実施されなかったため、全ての出願者が通過しましたが、例年は大手の予備校などが2月に実施される国立大学の帰国生入試の模試として受験することを奨励しているため(これによって名古屋大学の帰国生入試が廃止されたり北海道大学の合否の判定が厳しいものになったりしているのに、彼らは考え方を変えようとしないようです)、提出する成績について求められる水準が高いものになっています。

また、この書類審査には、中国やオーストラリア、ニュージーランドの高校のように統一試験が受験できなかったり結果が出願手続き期間に間に合わなかったりする場合にアメリカの統一試験であるSATなどの受験が求められるという問題があります。一方で、カナダのノヴァスコシア州のように制度上統一試験がない教育制度で学んだ場合に現地の大学に入学を許可されていることを示すことができれば出願資格を与えるという形で出願資格の認定に関して柔軟さを見せるケースもありますので、特にカナダの高校で学んでいる人は手続き期間の前に出願資格の有無について入試課に確認をしてみるのがいいと思います。

第2次審査では小論文試験の出来で合否が判定されます。この試験では経済学的な問題がテーマとなった問題文がA4の用紙で3~5枚という形で出題されるため、高い水準の読解力が要求されることも珍しくありません。研究者が書いた経済学的な内容の新書を読むことで知識を蓄積したり学問的な文章の読み方に対する理解を深めたりといった準備が必要ですし、論述・読解問題における説明の仕方についても問題演習を通して適切なやり方を習得するという形で準備を進めるべきだと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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