2月8日から2月12日までのグループ指導について―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 140―

(2021年2月8日 17:20)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、定員が16名で教師と生徒がいつでもコミュニケーションを取ることができるといったSOLの帰国生大学受験セミナーの特徴は、生徒だけでなく、彼らの大学受験をサポートする僕らにとっても重要なものであるということを述べました。帰国生の学力のあり方には多くの要因が関係しており、人によって大きく異なる形を取る可能性があるということがそのように考える理由の一つです。

さて、新型コロナウィルスの感染拡大に対する日本政府の対応が話題となる日々が始まって1年近くが経とうとしています。その中で大きな議論の対象となったものの一つに困窮世帯に対する生活援助をどのように行うのかという問題があります。結果的に、昨年4月の段階で国民1人1人に10万円を給付するという決定がなされましたが、そこに至る道筋で注目を集めたのが「国民に現金を支給しても貯金に回るだけだ」、「みんな銀行にお金が余ってるじゃん」というものに代表される財務大臣のこの問題に関する一連の発言でした。

彼が日本社会に経済的な問題に直面している人がどれだけ存在するか、そしてそのような人々がどれくらい困難な状況に置かれているのかといった点に無理解であることを示唆するような発言を重ねるのには、彼がある地域で幅広い事業を展開する裕福な家庭の生まれであり、同じように経済力がある家庭で育った人に囲まれてきたためであるという指摘があります。自分と異なる社会階層などに属する人と交流をする機会がなかったことで他者が抱えている問題の深刻さが想像できないということなのだと思いますが、様々な報道があったにも関わらず彼がその後もこの問題に対するアプローチを変えないことや世襲政治家と呼ばれる人々の動きが同様に鈍いことを見ると、生活環境から生じるバイアスは確かに存在するものなのでしょう。

通常、このような思考の偏りは様々な社会体験などを蓄積していく中でその影響力が次第に薄まっていくとされていますが、もちろん程度が人によって異なり、上で取り上げた政治家はその極端な例であるものの、大人になってもその束縛から完全に逃れるのは難しいことです。それを踏まえると、より短い期間しか生きていない18、19歳の若者に生活環境から生じるバイアスが強い形で表れたとしても不思議なことではありません。僕らは少なくとも自分たちで教室を運営するようになった10年以上前から、生徒とコミュニケーションを取ることが容易な環境に身を置いていますが、その中で彼らと受験に向けた学習についてだけでなく、家庭の状況やこれまでに在籍した教育機関での生活、趣味や関心のある事柄など一人ひとりの生徒の様々な側面に関わる話をする機会が多くあります(以前に帰国生を対象とした教育機関から業務委託を受けていた時もなるべくこのような形でのコミュニケーションを取るようにしていましたが、教室を自分たちの考えに基づいて整備した現在の方がその量が増えましたし話題となるものの範囲も広くなったと感じています)。

そこで浮かび上がってくる個々人を取り囲む環境やそれに対して抱いている考えや感情には多様なあり方が見られますが、それと同時に小論文試験でトピックとされるような問題の重要性をどれだけ理解しているか、どのような形で説明をすればそれが理解できるのかについても違いが見られ、それらの間に強いつながりがあると思われるケースも少なくありません。例えば、先進国の都市部での貧困問題について、保護者が自分で会社を営んでおり、そこで簡単な事務仕事をする代わりにお小遣いをもらったというような経験がある人の中には、「(自分がこんなに簡単に金銭を得ることができたのだから)生活が困窮している人は職探しなどについて努力を怠っているだけだ」と考えている人がいる一方で、在籍していた高校がある地域でボランティア活動を行い、そこで接した人々から彼らの直面している問題について直接話を聞いた経験を踏まえてその深刻さを容易に飲み込める人もいます。

このような問題が社会で重要視されていることについて十分に理解できているかどうかは、小論文試験で出題された問題文をどれだけ理解できるか、小論文としてどのような内容の文章を書くのかということに大きな影響を与えます。このようなことを考えても、小論文試験が試験科目の一つとなっている帰国生入試やAO入試を受験する人をサポートする僕らには、一人ひとりの生徒の人となりを理解するために彼らにじっくりと向き合う必要がありますし、それを実現できるような現在の環境が大きな意味を持っているということになるのです。

さて、今週のグループ指導についてですが、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスの感染者が増加するペースは1月の下旬から大幅に低下しましたが、国の緊急事態宣言は3月まで延長されることになりました。ただ、現在、教室で受験準備を続けている人は教室の周りに居候先がありますので、これまでと同様の形で行いたいと考えています。また、個別指導や個別面談は、公共交通機関を使わずに教室に来ることが可能な場合は対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします。よろしくお願いいたします。

【個別面談お申込みフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form2.html

それでは、帰国生大学受験セミナーのグループ指導の内容や日程などに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

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