帰国生入試の出願資格を得るための条件について(9)―帰国生大学入試についてvol. 306―

(2021年7月17日 18:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、海外の教育制度で見られる「飛び級」や「繰り上げ卒業」を利用して高校を卒業していても日本の大学の帰国生入試で出願資格が認められるということを述べました。ただし、そのような場合でも、海外の高校に継続して2学年分の期間に在籍していなければ他の条件を満たせていないと判断されてしまうことに注意すべきだと思います。

さて、ここ数年、SOLの帰国生大学受験セミナーのグループ指導に参加している生徒の中で、カナダのブリティシュ・コロンビア州に高校から単身留学した人が大きな割合を占めるようになりました。この州では、高校を「繰り上げ卒業」したい人の意思を最大限尊重しようという方針が採られており、単位の取得に関する条件を満たしてしまえば、本来6月の終わりが卒業の時期であるところを1月や4月に変更できるようです。これまでにも、1月に高校を卒業する予定なので、11年生が修了した後の夏休みにグループ指導に参加するという人もいましたし、受験に向けた準備のための期間を長く取るために「繰り上げ卒業」する人が少なくないという話を聞いたこともあります。

それだけならば話はそれほど複雑なものにはならないのですが、この州の教育制度では卒業に必要な単位を全て取得した後もそれまでと変わらない形で授業に参加できてしまうため、それによって帰国生入試を受験する際に問題が生じてしまうことがあります。例えば、以前にこの州の高校に単身留学していた生徒で、本人としては6月下旬に高校を卒業したつもりだったのに、単位に関する条件を1月に満たしたことで、大学に提出するために作成してもらった卒業証明書に「高校でのプログラムを1月に修了した(completeという表現だったと思います)」と知らないうちに書かれてしまった人がいます。

それでも、海外の教育機関に2学年以上継続して在籍していれば出願資格が得られる大学を受験するのであれば問題はないのですが、彼女が受ける予定にしていたものの一つが、単身留学生に3学年以上在籍したことを求めている青山学院大学の海外就学経験者入試でした。彼女は卒業式にも参加したので、まさか上のような記載があるとは考えておらず、卒業証明書をそのまま提出したところ、海外の教育機関における在籍期間が2学年と半年しかないため出願資格は認められないと判断されてしまい、書類を作成し直してもらうのにも時間がかかったため、最終的に受験を見送ることになってしまいました。

このように、大学によっては「繰り上げ卒業」に関する制度が原因で生じる問題に直面することがあります。今年、青山学院大学のような条件を設定している大学の帰国生入試を受験する人は、卒業証明書や在籍証明書の中で自分が高校を卒業した時期がどの時点になっているかを確認した方がいいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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