TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(18) ―英語学習の勧めvol. 187―

(2021年7月22日 12:20)

こんにちは。SOLの余語です。
前回までの記事では、TOEFL iBTやIELTSのReadingで高いスコアを取るには、そこで与えられた文章を速く正確に読める力が必要になるが、それを身に付けるために英文法に関する学習に取り組むべきであることを説明しました。そして、その学習における注意点や問題演習に用いた教材の隅々まで確認するような形で復習することの意味についても述べてあるので、TOEFL iBTやIELTSの受験準備をしようとしている人に読んでもらえればと思います。

さて、これらの英語運用能力試験のReadingで出題される文章の内容を正しく把握するために必要なのは語彙や表現に関する知識や英文法に対する理解だけではありません。例えば、Cambridge University Pressが発行元の”IELTS 12 ACADEMIC”に収録されている”The Lost City”という題名の文章は、探検家であるBinghamが南米にある有名な遺跡を発見する話なのですが、彼より前に同じ地域を探索した人がその遺跡を見つけられなかった理由の一つを述べる文として以下のようなものがあります。

When Bingham and his team set off down the Urubamba in late July, they had an advantage over travellers who had preceded them: a track had recently been blasted down the valley canyon to enable rubber to be brought up by mules from the jungle.

コロン(:)より前の部分では「Binghamと彼のチームが7月下旬にUrubamba川を下り始めた時に、彼らにはその前に探索した人に対して有利な点があった」ということが述べられており、コロンの後でその「有利な点」とは何かが説明されています(コロンは基本的にその前後が同じものであることを示す記号です)。その説明の中にblastという単語がありますが、この意味を「(発砲・砲撃などで何かを)爆破する」として覚えている人が多いと思います。

しかし、この部分を「谷に下る道が最近爆破された(爆発で破壊された)」と解釈してしまうと、「道が破壊されること」は捜索できる範囲が狭まることにつながるのが一般的なので新たな遺跡の発見という話の大筋とは合わないように思われます。また、その後を読むと、a trackがblastされた目的は「ジャングルからミュールを使ってゴムを運び出すため」とされており、それを考えると、道は「破壊された」のではなく「作り出された」という内容になっているのが自然な流れであるはずです。

この点、blastという単語の動詞での意味をジーニアス英和大辞典で調べてみると、他動詞の一つめの説明の最後に「(爆破して)(トンネルなどを)作る」というものが出て来ます。その意味でblastが使われているのであれば、コロンの後の文は「ゴムをジャングルから運ぶ出すことを可能にするために道が最近何かを爆発させることによって作られた」という自然な内容になりますし、Binghamが誰も見つけることのできなかった遺跡を発見したという文章全体のテーマにも合っていることになります。

英単語には様々な意味を持つものが多いですが、上のような例を踏まえると、前後の文の内容や文章の流れを正しく把握し、ある単語がどのような意味で使われているのかを適切に判断する力を伸ばすことが、英語で書かれた文章を正確に読んでいくためには求められるということになるでしょう。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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