帰国生がAO入試の出願資格を確認する際の注意点について―帰国生大学入試についてvol. 310―

(2022年1月21日 20:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回までの記事では、日本の大学が帰国生入試で設けている出願資格を認めるための条件を入試要項などで確認する際に注意すべき点を説明してきました。今年も4月から様々な大学で入試要項が公表されていくはずですが、その内容を確認する際に一つ一つの記事で取り上げた点を意識してもらえればと思います。

さて、海外の高校を卒業したり、途中で日本の高校に編入したりした人が大学を受験するに当たっては、帰国生入試だけでなくAO入試や自己推薦入試、公募推薦入試などもその候補に含めるのが一般的です。それは、これらの入試の合否が小論文試験と外国語運用能力試験の成績で決まることが多いため、受験に向けた準備をその範囲をむやみに広げることなく進めることができるからですし、出願資格を認める条件に関しても共通している部分が大きいということもあります(AO入試などの方が海外の教育機関での在籍期間などに関する条件などがないので、出願資格を得ることのできる人の数はむしろ多くなります)。

ただし、海外の高校を卒業した人がAO入試などの入試要項を確認する際には注意すべき点が一つあります。それは、大学や学部・学科によっては日本の高校を卒業した人だけに出願資格を与えるものがあることです。例えば、青山学院大学文学部史学科が実施している自己推薦入試では出願資格を得るための条件の1つ目として以下のようなものが定められています。

2021年3月に日本の高等学校(または中等教育学校の後期課程。以下同じ)を卒業見込みの者

そして、注意点を説明するところにも「日本にある外国人学校(インターナショナルスクール等)を卒業見込みの者、『高等学校卒業 程度認定試験』合格者は含みません」と述べられており、海外のカリキュラムを採用した高校を卒業した人は受験ができないことが明確になっています。また、このような表現がない場合でも、明治学院大学の自己推薦AO入試において、社会学部社会福祉学科がA方式で設定している以下の条件のように、

全体の評定平均値が3.8以上である者

日本の高校のみが出すことのできる「評定平均値」(高校3年間の成績に付いた評定点の平均値)に関するものを満たすことが必要不可欠とされている場合には、日本の高校を卒業した人のみが受験できる入試ということになります(この点については、立教大学の自由選抜入試のように事前に海外の高校における成績などを提出し、このような条件を大学が満たしていると判断したケースでは、海外の高校を卒業した人にも出願資格を与えるものもあります)。

なお、海外から帰国して日本の高校に編入した人が「評定平均値」に関する条件がある入試を受験しようとする場合、日本の大学は海外の教育機関の成績を日本で採用されているスケールに合わせて変換することを卒業予定の高校の責任であると判断するのが一般的ですが、高校からそれを行う能力がないと告げられるケースが見られます。そのような問題に直面するのを回避するために、自分が在籍している高校にこの点について早めに確認した方がいいでしょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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