今から帰国生入試やAO入試に向けて準備すべきことについて(7) ―帰国生大学入試についてvol. 317―

(2022年4月15日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試であれば基本的にどの大学でもスコアが出願手続き時に使えるTOEFL iBTとIELTSについて、TOEFL iBTのスコアが伸び悩んでいる場合や、イギリス連邦の国々や日本のようにIELTSが受験しやすい環境にいる場合には、後者を受けるよう勧めていると述べました。IELTSの方が多くの帰国生が苦手とするReadingの対策をしやすいですし、日本の文部科学省やそこが出している対照表を基に判断する多くの大学が他の英語運用能力試験に比較してIELTSのスコアを高く評価しているということもあります。

さて、日本でこれから学ぶべき外国語は何かという話になると、最も多く出る回答は英語になるのでしょうが、中国が世界の中でも最も急激な経済発展を続けており、日本との関係も密接なものになっているため、中国語と答える人も少なくないでしょう。このような状況を受けて、高校から中国に単身留学したり、保護者が中国本土や台湾に赴任する際に現地の学校への進学を選択したりする人がいるかと思います(それに加えて、SOLには保護者の一方が中国出身で、そこでの居住期間が長い人からも教育相談のメールが来ることがあります)。

ただし、「グローバル化」や「国際化」を大学運営の方針に上げているにもかかわらず、首都圏の有名私立大学で中国語運用能力を活かして受験ができる帰国生入試やAO入試を実施しているところは減少傾向にあります。そのため、中国や台湾の現地校で学んだ人は、その数少ないものの中から中央大学の経済学部や商学部の中国語運用能力特別入試を第一目標に選ぶことが多いはずです。前者を受験する際には、HSKなどの中国語運用能力試験の成績に関して指定されている水準をギリギリ超える程度ではなく、できるだけ高いものにしておくことが望ましいと言えます。

また、以前から商学部の中国語運用能力特別入試においてほとんど合格者が出ないことを不思議に思っていたのですが、昨年の生徒の保護者で中国出身の方がいたので中国語試験の過去問を見てもらったところ(この方はSOLに今までメールを送ってきた同様のバックグラウンドを持つ人の中でも最もしっかりとした日本語でのやり取りができた人なので、母語の運用能力も高いはずです)、よく取り上げられるピンインの問題があるだけでなく、中国語の文を和訳する問題なども大変レベルが高いものであるという話を聞くことができました。これはHSKなどの成績に関係なく受験者全員が受けなければならないものですので、受験する候補に入れている人は過去問を確認の上、必要な対策を早めに始めるべきです。

さらに、別の大学に目を向けると、青山学院大学の海外就学経験者入試にもHSKなどの成績が伸びていれば高い評価を受けられる学部があります。昨年も、法学部ヒューマンライツ学科を受験した人が日本語小論文試験の問題を完全に読み間違えてしまったにもかかわらず、韓国語運用能力試験の成績が高かったために合格したという事例がありました。ただし、この入試を英語以外の言語の運用能力を活かして受験する場合には、TOEFL iBTやIELTSなどで大学が指定する水準の成績を取る必要がありますので、中国語の学習だけでなく、英語運用能力試験の対策をどのように進めるのかも考えた方がいいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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