国際基督教大学(ICU)の総合型選抜について ―帰国生大学入試についてvol. 336―

(2022年9月16日 19:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、国際基督教大学(ICU)のユニヴァーサル・アドミッションズ4月入学帰国生入試の概要を紹介しました。この大学は日本で数少ないリベラルアーツのカリキュラムを採用しているだけでなく、英語での授業も多くあるため、帰国生からの人気を集めていますが、今年度からコロナ禍で緊急避難的に採用されていた形で4月入学帰国生入試を行うようです。大学側が理想的な学生と考える人物像がありますので、それに合わせる形で出願手続き時に提出する書類の作成や面接試験の準備を進めるべきだと思います。

さて、この大学を海外の教育機関に在籍した経験のある人が受験する場合、総合型選抜に出願するということも選択肢の一つになります。この入試は以前、AO入試と呼ばれていたもので、日本の高校を卒業する人だけに出願資格を与えていました。現在は海外の高校を卒業した人でも受験できるように出願資格を得るための条件が改められ、新たに「英語外部試験利用」、「理数探究型」、「IB認定校対象」という3つのタイプ(いずれもこの大学が入学してくる人に求める資質の典型的なものに合っています)が設けられましたが、「IB認定校対象」ではない分類で受験する人はICUがその前から受験生に求めてきた高校での成績に関する基準(「英語外部試験利用」が評定平均値4.1以上、「理数探求型」が全体で4.0以上、数学または理科で4.2以上に当たると大学が認定するもの)を満たしているかについての審査を通過することが必要になります。

合否の判断が書類審査とオンラインでの個人面接で行われることや、出願手続き時に大学から出された課題に関する小論文や推薦状などを提出しなければならないことはユニヴァーサルアドミッションズ4月入学帰国生入試と変わりがありません。ただし、いずれのタイプで出願するにせよ、これまでに取り組んできた活動の実績に関する報告書のボリュームが大きいことと、「IB認定校対象」で受験する場合にはExtended Essayの内容と成果に関する要約を作成しなければならないこと(この形で受験する人は上智大学のIB入試も受験することが多いはずですので、あまり問題にならないかもしれませんが)といった点に注意すべきだと思います。

なお、ユニヴァーサルアドミッションズ4月入学帰国生入試や一般入試と同様に、この入試でもICUに入学したいと考えている理由を説明するための書類の提出が求められていますが、そこで「大学入学後に学びたいことが定まっていないため、リベラルアーツのカリキュラムの中で授業を受ける中で決めていきたい」ということを述べようとする人が少なくないように思います。しかし、それでは入試要項で大学が指定している条件を満たしているとは言えません。また、面接試験はこの書類の内容を基に行われるのですが、上のようなことを書いてしまうと試験官が何を質問していいのかが分からなくなりますし、受験前に練習を行おうとしても、どのような方向に本番での話が展開していくのかについての見通しが立たないため、効果的なものにならない可能性が高まります。これらの点を踏まえると、1つか2つのテーマに関してICUが設けている複数のメジャーの観点から考察を深めたいという形でこの書類の内容を決めていくのが望ましいと言えるでしょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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