社会的な活動への参加について (5) ―帰国生大学入試についてvol. 367―

(2023年6月2日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試を受験する人の中には、社会問題に関連したボランティア活動などに参加し、その当事者や関係している人々の様子が確認したり、彼ら/彼女らが置かれた状況の説明を受けたりすることで、小論文試験や英語運用能力試験の対策に強い意欲を持って臨むようになる人がいるという話をしました。これは特に法学や経済学、政治学といった社会科学系の学問を扱う学部・学科を受ける人に見られる傾向であり、そこで取り上げられるトピックに関する現実感が増すことがその要因の一つだと考えられます。

さて、今年も6月に入り、首都圏にある多くの私立大学で2024年4月入学者を対象にした帰国生入試やAO入試の要項が公開される時期が近づいて来ました(早稲田大学などではすでに公開されていますし、いくつかの大学のホームページには概要が掲載されています)。北半球の国や地域のカリキュラムを採用している高校で最終試験などが終わった人を中心に、どのような学部・学科を受験するのかをインターネット上で情報を集めるといったことを通じて本格的に検討し始めた人は少なくないと思いますが、そのような段階でよく耳にする声の一つが「一つひとつの学部・学科の研究活動で焦点が当たっている問題に関して漠然としたイメージしか持てないので、どれが4年間の大学生活で取り組むべきものなのかが判断できない」というものです。

このような状況を克服するために、大学や学部・学科が発行するパンフレットや様々な領域の研究者が書いた本などを読む人がいるはずです。しかし、前者では各学部・学科のカリキュラムの特徴の説明にスペースのほとんどが割かれていて、そこで扱われているトピックに関してはその名称だけが挙げられていることが通常です。また、後者については、前回の記事で述べた新聞やインターネットの記事で社会問題にふれるのと同様に、活動範囲が狭く、他の人とコミュニケーションを取った経験の蓄積が限定的であるために、それが社会や個人の生活にどれだけ重大な影響を及ぼすのかについて現実感を伴った形で理解するのが難しいと感じる人が一定数存在します。

その結果、彼ら/彼女らは自分が大学に進学した後にどのような問題に取り組むために学んでいくのが自分にとって望ましいのかについてのイメージを形成できず、どの学部・学科の帰国生入試やAO入試を受験するのかを決められないということになります。この点、社会的な活動に参加し、そこで注目されている問題の当事者や彼ら/彼女らを支援する人々の話を聞くことがそれらとの距離感を縮める機会となり、将来の方向性を決めることにつながるということがSOLの帰国生大学受験セミナーで学んだ人の間でもよくあります。できるだけ早い段階で志望する学部・学科を絞り込むことは受験に向けた準備を順調に進めるのに資することを踏まえると、社会的な活動の参加には意義があると言えるでしょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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