北半球の高校生の受験準備に関してvol.3 ―帰国生大学入試についてvol.142―

(2012年12月24日 18:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生の大学受験に関しての様々な情報の中で受験準備の一つとして挙げられることのあるSATの受験を取り上げ、基本的に自分の通う高校が採用する教育制度において大学入学資格を取得できる見込みの立っている人はSATを受ける必要がないことを述べました。今回は、上のような状況にあっても例外的にその必要性があるケースを説明し、前回の記事の補足としたいと思います。


アメリカ合衆国以外の教育制度の下で学習しており、その大学入学資格を得ているにもかかわらず、SATを受験しなければ出願資格を得ることができないのは以下の3つのケースのみです。


①南半球の高校の卒業見込みで慶應義塾大学の帰国生入試などを受験する場合
オーストラリアやニュージーランド、南アフリカといった南半球の国々の高校は卒業時期が11月で、統一試験も9月以降に実施されるため、それより以前に出願手続き期間が設定されている場合には、大学入学資格を得たことを証明する書類が提出することができません。大学入学資格の取得を出願条件の一つとしている大学でも一般的に、このようなケースでは統一試験を受験する見込みであることが証明できれば出願資格を与えられるのですが、慶應義塾大学の帰国生入試ではSATを受験し、そのスコアを提出することが求められています(ただし、次年度に受験する場合はこの限りではありません)。首都圏の難関大学では他に、横浜国立大学経済学部の外国学校出身者入試がこれに当たります。また、明治大学の法学部を受験予定の人で、TOEFL iBTで61点以上のスコアが取れていないという場合にも、SATで出願資格を認めるのに適当だと評価される成績を修めなければならないことについては、こちらの記事を参照してください。


②中国の教育制度に基づいた教育を受けている人が慶應義塾大学の帰国生入試などを受験する場合
中国の教育制度には大学入学資格を得るための独自の統一試験があり、高校の採用する教育制度における大学入学資格の取得を出願条件の一つとする大学の入試要項には、その試験を受験すべきということが記載されていることがあります。しかし、中国の教育制度の統一試験を中国国籍でない人が受験することは認められておらず、このような人にとってはHSKで一定の級に合格していることが大学入学資格を得るための条件になります。多くの大学では大学入学資格取得のための試験が存在しないということで、その取得を求める条件が適用免除になる(もしくは、HSKで一定以上の級に合格したことを証明する書類を提出する)のですが、例外的に①で述べた大学に合わせて、首都圏の難関大学では明治大学政治経済学部の帰国生特別入試を受験する場合にはSATの受験が必要になりますし、法学部を受験予定の人がTOEFL iBTで61点以上のスコアを取得できていないのであれば、SATを受けることを求められます。


③上智大学国際教養学部の入学試験を受験する場合
上智大学の国際教養学部の入学試験では、受験生の通っていた高校でいかなる教育制度が採用されていても大学指定の統一試験を受験することが求められており、そのうちの1つがSATになります。ただし、アメリカ合衆国におけるACTのスコアの提出も認められていますし、IB Diplomaの取得をもって出願することも可能で、これらの試験の成績がすべて同等に扱われます。


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