南半球の高校に通う人の大学受験準備に関してvol.5 ―帰国生大学入試についてvol.135―

(2012年12月5日 17:15)

こんにちは。SOLの余語です。
今年も12月に入り、オーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学している人の中には日本に一時帰国している人もいるかと思います。これらの国々や南アフリカの高校に通う人にとって、ここから1月の終わりまでの2か月間は、以前から述べている通り、日本の大学の帰国生入試やAO入試に向けた準備を集中して行える唯一の機会になります。TOEFLやTOEICで高いスコアを既に取得している場合でも、これらの入試制度の中には小論文試験で十分な学力があることをアピールできるか否かが合否に直接的な関連性を持つものがありますので、この期間に行う学習の重要性は誰にとっても変わりません。


さて、帰国生入試などの受験準備の中には、小論文試験の対策のように受験生が個人的に行うことが難しいものがありますし、「帰国生大学入試について」のvol. 131で述べたような英語運用能力試験のスコアを独力で伸ばそうとしても成果が出ないというケースも見られます。このため、多くの人は予備校や塾で学ぶということを選択するということになりますが、南半球の高校生は学習環境を選択する場面で、北半球の教育制度を採用している高校を卒業する人とは異なる自分たちの状況に合わせた形で指導やサポートが行われるのかという点を確認すべきです。


例えば、首都圏の難関大学の多くは7月下旬から9月上旬に帰国生入試の出願手続き期間を設定しています。これらの大学の中には志望理由書の提出を求めるところがある一方で、この時期の大半は南半球の高校で授業が実施されており、長期休暇を取って日本に帰国することは難しいはずです。それを考えると、大学に提出する書類を作成する際に、メールのやり取りなどを通じた指導を受ける機会があるべきということになりますが、日本の予備校や塾の中には海外に滞在している間に受験準備における筆記試験以外の側面に関して十分なサポートを行わないところがあるという話を耳にします(筆記試験対策という点でも同様なケースがあるようです)。


これは、受験生が満足に入試に向けた準備をすることができないという点でもちろん問題ですが、帰国生入試やAO入試では小論文の学習を進めるうちに入学を希望する大学や学部・学科を変更することが少なくないということを考えに含めると、より深刻な影響を及ぼすものとして扱うべき事柄になります。一般的に、受験生は準備を始めた段階では一つ一つの学部で扱われている学問がどのようなものかということについて不明確なイメージしか抱いていませんし、自分の学問的な適性に関しての判断をする機会もそれほど多く与えられていません(仮に、大人であればこのような判断をある程度正確に行うために必要なだけの機会があったとしても、学問的な事項に関する知識などが十全なものではない以上、その判断は流動的なものにならざるを得ません)。このような傾向を前提とすると、小論文の学習の中で様々な本を読んだり、自分で文章を書いたりするによって学問や自己に関する理解が深まるにしたがって、自分が当初持っていた志望を変更しようと考える人が出て来ても決しておかしい話だとは言えないと思います。そして、受験準備に関する指導やサポートを行う側は、受験生が入試を受ける学部・学科を変更するのにいつでも対応できる体制を整えるべきです。これから受験準備を行うために環境を検討しようという人は、今回述べたような点について自分より前に受験を終えた人などに確認する機会を持つようにしてください。


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