北半球の高校生の受験準備に関してvol.5 ―帰国生大学入試についてvol.147―

(2013年1月17日 17:50)

こんにちは。SOLの余語です。
「帰国生大学入試について」のvol. 141vol. 142では、帰国生が日本の大学を受験するための準備として話題に上ることの多い、アメリカの教育制度における大学入学資格取得のための統一試験であるSATの受験について取り上げました。そこでは、自分の通う高校が採用する外国の教育制度での大学入学資格を得られる見込みである場合、vol. 142で示したような例外的なケースを除いて基本的にSATを受験する必要はなく、現在の高校での学習に力を入れるべきということを述べたかと思います(なお、日本の大学の帰国生入試で大学入学資格の取得を出願条件の一つとしているものはvol. 143で列挙したように限定的です。実際に受験準備としてこの時期に何を行うのかは自分の志望大学や現在の学力を基にした個別的な判断が必要となるでしょう)。


さて、上で紹介した各記事を読んでいただいた方には確認の必要がないことですが、現在アメリカの教育制度の下で運営されている高校に通っている、もしくはその他の教育制度において大学入学資格を取得できない(IBで言えば、高校卒業時にIB Certificateしか取ることができないということです)人で、大学入学資格の取得が出願資格を得るのに必要な入試(実質上そうであるものも含めます)の受験を希望する場合には、学んできた教育制度に関係なく全ての人に機会を与えているSAT(またはACT)の受験が必要となります。ただし、これらのケースでもSATの受験に関して注意すべき点があり、それを踏まえない限り受験に向けた準備として行うべきことは何かについての正確な判断をするのは不可能なことです。


これは以前にも言及した話題ですし、広く知られていることでもありますが、SATにはcritical reading、writing、mathematicsの3つの試験で構成されるReasoning Testと呼ばれていたものと、各教科に関するSubject Testsという2種類のテストがあります。そして、帰国生入試やAO入試の出願資格を得るのに外国の教育制度における大学入学資格の取得を必須とする日本の大学では、かつてReasoning Testと呼ばれていたものに関してはどこも共通してその受験を求めている一方、Subject Testsの受験の必要性については各大学で異なる対応をしており、それが出願条件となっている大学は多くはないというのが現状です。


vol. 143の中で挙げた大学で具体的に確認すると、書類審査の段階で不合格者の出る国立大学や慶応義塾大学の帰国生入試ではSubject Testsの結果の提出が必要になります。しかし、早稲田大学やICU(4月入学帰国生入試)、そして明治大学の政治経済学部、文学部、法学部ではReasoning Testを受験していれば出願資格が認定されますし、Subject Testsの結果を出せないことが合否に影響を持つということもありません(ICUは総合的に判断しますので、アメリカの教育制度での学習期間が長ければSubject Testsの結果を出せることが当然だろうと見なされる可能性があります)。また、SAT、またはIBの結果の提出が求められる上智大学の国際教養学部でもReasoning Testの結果が提出できれば十分とされます(慶應義塾大学のSFCにある2つの学部が実施するAO入試は例外的にSubject Testsの受験を求めていますが、その他のAO入試ではそもそもSATも受験自体が必要でないものがほとんどです)。Subject Testsの結果まで必要となる大学に合格するためにはそれらの試験において高いスコアを得ておかなければならないということも考慮に入れて、Subject Testsの準備までこれからの学習課題に入れるのか、もしくはReasoning Testの受験にとどめTOEFL iBTのスコアを伸ばすことなどに注力するのかを選ぶようにしてください。


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