北半球の高校生の受験準備に関してvol.27 ―帰国生大学入試についてvol.169―

(2013年5月7日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、アメリカの教育制度を採用する海外の高校を卒業し日本の大学の帰国生入試やAO入試を受験する予定である場合に、TOEFL iBTのスコアが80点に到達していないなど、英語運用能力が順調に伸びていないのであれば、英語の文法や語彙に関する学習に力を入れるべきということを述べました。出願資格の認定についてSATのスコアの提出を求める大学のほとんどはその高低と合格可能性に直接的な関連性はありませんので、SATの受験は最低限に抑えて、入試の筆記試験における英語試験に対応するための実力を養ってもらえればと思います。


さて、前回の記事の中で、英語の学習を進める際の注意点として、学習者にとって理解しやすい内容の文章を使って行なうべきということに言及しました。これは外国語の学習のあり方について考える際には常識的なことですが、英語の基礎的な成り立ちなどについて理解を得ようという場面で、複雑な構造を持つ文章を見ても混乱が深まるだけですし、内容が難しいものであればそちらの方に関心が向いてしまうことが考えられるだけでなく、例えば自分の読解の仕方が適切なものであったかどうかの確認ができないということもありえます。このようなことを考えると、上のような学習段階にある多くの人にとっては、英語運用能力の向上を目標とするのであればSAT対策は不適切なものであると言うことができます。


英語の学習は覚えることも多くありますし、学習した事項を整理する時間も必要ですので、1日でできることには限界があるはずです。頭の中が飽和状態になったと感じた場合には、先日掲載した記事で述べたのと同様に、日本語で読書をすることをお勧めします。帰国生や海外生の中には、英文を読む時にそれ以前からよく知っているトピックのものは単語や文の構造で分からないものがあったとしても内容を理解できたという経験をした人がいると思いますが、日本語での読書を通じて理解できる事柄を増やしておくことはこのように間接的な形で英文の読解力などを高めることにつながるだけでなく、学問的な内容を伴う文章も学習の際に用いる教材にすることが可能になるという点で、英語運用能力を年齢相応な水準に引き上げる取り組みを前に進めるための手助けとなります。


また、英語運用能力が帰国生入試の英語試験に対応できるレベルにまで向上させることができなかったケースでは、筆記試験が小論文試験のみという入試制度を採っている大学に受験校を絞り込むということも考えられます(僕らの教室でも一昨年の生徒で小論文試験のみがある大学に限定する形で受験に臨んだ人がいましたが、横浜国立大学経営学部経営学科に合格しました)。このような場合、日本語で書かれた文章の読解力が受験結果が充実したものになるか否かの分かれ目になりますので、できるだけ早い段階で読書量を増やすことが重要です(ただし、上智大学が出願資格を認めるための要件の一つである外国語試験のスコアに関する基準は超えておいた方が受験校の幅が広がりますので、そのための努力はすべきだと思います。以下に、上智大学の帰国生入試に関するHPへのリンクを貼っておきますので、どの程度英語の学習に力を入れるべきかを決定する際の参考にしてください)。


【上智大学帰国生入試HP】
https://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_ad/2014kikoku


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/


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