北半球の高校生の受験準備に関してvol.38 ―帰国生大学入試についてvol.180―

(2013年6月17日 19:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語運用能力で言えばTOEFL iBTのスコアがコンスタントに85点から99点の間にあるというように、帰国生の中で学力的に中間層に位置する人の帰国生入試やAO入試の受験準備に関して、学習課題を絞り込むために受験する学部・学科を決めるための取り組みをなるべく早く始めるべきということを述べました。ただし、受験生の段階で大学において学ぶことのできる学問の俯瞰的な理解を持つことは難しいことですので(このようなものが身に付いているのであれば、大学に行く意味はあまりありません)、教師やスタッフが学部・学科の選択のプロセスまでしっかりとサポートしてくれる環境で受験準備を進めるべきだと思います。


さて、前回までの記事では、英語圏の教育制度を採用している高校で学ぶ人を対象に、予備校や塾に入る前の段階で日本の大学の受験を充実したものにするために何をすべきかということを説明してきました。これは上のような学習状況にいる人が最も多いからですが、北半球の英語以外の言語を主に使用する教育制度(例えば、ドイツ、フランス、中国)で学んでいる人が帰国生入試やAO入試を受験することが少なからずあるのは慶應義塾大学の帰国生入試要項の33ページで確認できますし、僕らもそのような生徒の指導を以前から行なっています(SOLを立ち上げてからは2010年度が5名、2011年度が4名、そして昨年度が2名です)。


昨今、日本では「グローバル人材」の育成の必要性が声高に主張され、そこでは英語運用能力ばかりに関心が集まっており、帰国生入試やAO入試でもTOEFL iBTのスコアをもって入試における外国語試験の代わりとするものが目立つようになってきています。ただし、英語以外の言語の運用能力を測る試験を実施しているところも英語偏重の流れから考えられる以上にあり、首都圏の難関大学に限定しても、早稲田大学の帰国生入試にはドイツ語やフランス語の試験がありますし、立教大学や学習院大学、中央大学では外国語試験に関して複数の言語から1つを選択して受験することが可能です(青山学院大学も英語以外の言語を用いて受験することができますが、外国語試験の半分は英語の問題になっています)。


これらの大学を中心に志望校を考えていくのであれば、まずは自分の高校で用いられている言語の運用能力を高めるのに注力することが重要です(このブログでは「英語学習の勧め」というタイトルで英語の学習方法に関する記事を掲載していますが、そこで述べていることは英語に限らず外国語の学習全般に共通して当てはまることですので、参考にしてもらえればと思います)。また、日本の予備校や塾は英語以外の言語の授業を行わないのが一般的であることを踏まえると、本格的な受験準備の時期に入るまでに自学自習で運用能力を高めることができる状態(具体的には、文法の基礎的な事項に対する理解が十分にあり、頻出の単語の意味や用法が記憶に定着しているという状態)になることを最低限の学習目標として設定するようにしてください。


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