中央大学の特別入試について(1) ―帰国生大学入試についてvol. 274―

(2020年11月6日 17:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、慶應義塾大学法学部のFIT入試を取り上げました。この入試では志望理由を考えるにあたって社会的な体験が重要な役割を果たします。そのため、受験での大きな成果を上げるには、自分の滞在している地域でどのような活動が行われているかを確認し、それに参加する経験を蓄積していくようにするのが望ましいでしょう。

さて、今回の記事では中央大学の帰国生が受験することの多い特別入試のうち、以前から実施している経済学部(海外帰国生等特別入試、英語運用能力特別入試、ドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語特別入試)や法学部(英語運用能力特別入試)、商学部(英語運用能力特別入試、ドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語特別入試)のものの特徴について述べたいと思います。

〇経済学部の海外帰国生等特別入試などについて
この学部では3つの異なる特別入試が実施されているように見えますが、入試日に実施される小論文試験の問題は共通しており、海外帰国生等特別入試では受験が求められる英語試験もしくは外国語試験の受験が英語運用能力特別入試などで出願した場合に免除されるという形になっています。英語運用能力特別入試では、大学が定める英語運用能力試験で一定の水準以上の成績(TOEFL iBTでは61以上、IELTSでは5.0以上)を取得すると出願資格を得ることができますが、合格するにはこの水準を超えるだけでは十分とは言えず、TOEFL iBTであれば85、IELTSであれば6.5という辺りを目指すべきです(ドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語特別入試についても同じことが言えます)。

英語運用能力特別入試やドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語特別入試で合格するための目安となる外国語運用能力試験の成績が取れていない場合には、海外帰国生等特別入試で受験して、小論文試験や外国語試験に向けた準備をしっかりとした方が得策と言えます。特に、台湾などの現地校を卒業して中国語試験を受けるのであれば拼音を正しく使えるようにしておきましょう。

〇法学部の英語運用能力特別入試について
この学部の法律学科は以前から法律関係の資格を取りたい学生を手厚くサポートしており、SOLのOBOGにもその学習環境について高い評価をする人が多いのですが、政治学科や国際企業関係法学科でも少人数制のゼミを1年次から受講できるなど、この学部が大学の中核的な位置を占めていることが分かるような教育プログラムが組まれています(2023年にこの学部が東京の都心に近い場所に移転する予定であることもそのような位置付けにあることを物語っていると思われます)。

他の大学の法学部の入試について説明した時にも述べましたが、法学を学ぶ際には意味を理解できるようにならなければならない専門用語や概念が多くありますし、複雑な文章を読み込んでいく必要があるため、法律学科や国際企業関係法学科では日本語運用能力が重視されているはずで、国語試験や小論文試験についてしっかりと対策をすることが必要になります。一方、政治学科では英語でのコミュニケーション能力が伸びていることで高い評価を受けることができるので(数年前の生徒が面接試験の際に試験官からこのようなことを聞いてきたので確度の高い情報だと思います)、英語運用能力試験の成績について基準よりも大学が定める高いものを取っておくことが望ましいでしょうし、筆記試験で出題される英文和訳問題やエッセイ問題の問題演習を十分に行った方がよいと思われます。

〇商学部の英語運用能力特別入試などについて
この学部も会計士などの資格を取るためのプログラムが充実しており、実際に国家試験で合格している人が多いですし、このところ社会の中で実学志向が強くなってきているということを背景に人気が高まってきています。6、7年前まではTOEFL iBTのスコアが80を上回っていれば国語試験や小論文試験の出来がそれほどよくなくても合格可能性があったのですが、ここ最近は外国語運用能力試験の成績はより高い水準のものが求められていますし、筆記試験についても十分な対策を取っておく必要があります。

この入試は経済学部のものと同じようにドイツ語やフランス語、中国語、スペイン語の運用能力試験の一定以上の成績を提出することで出願資格を得られますが、この場合、筆記試験の段階で外国語試験を受験しなければなりません。毎年、少なくない人が受験している中で合格している人がかなり限られた数であることを踏まえると、外国語試験でよい成績を修める必要があると考えられますので、大学が定める水準を超えている人も油断せずに対策をするようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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