早稲田大学社会科学部のグローバル入試について ―帰国生大学入試についてvol. 278―

(2020年12月4日 12:05)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、国公立大学の中で最も早い時期に実施される横浜市立大学の海外帰国生特別選抜を紹介しました。この入試では各学部が指定する英語運用能力試験の成績の水準を超えると加点があり合格可能性が高まりますので、受験を考えている人はその水準を目指して学習を進めるようにしましょう。

さて、今回は早稲田大学社会科学部のグローバル入試を取り上げます。この学部は最近、一般入試での偏差値が急上昇しており、グローバル入試を受験する人も増加していますが、元々、法学や政治学、経済学、経営学といった社会科学系の学問を扱う夜間学部で、他の学部と同じように昼間に授業を行うようになった後もそのカリキュラムを維持しています。一つ一つの学問についてそれほど多くの教員がいる訳ではないので、専門的な学びをしたいのであれば政治経済学部や法学部、商学部に行った方がいいのではと思う一方で、例えば社会福祉制度の将来のあり方について政治学や経済学、法学といった複数の学問的な観点から検討したいといった人にはお勧めの学部かもしれません(英語で授業が行われるTAISI Programは、教員を十分に確保することができなかったためか、履修できる授業の種類がかなり限定されていますので、このような魅力に欠けるものになっています)。

この学部のグローバル入試で出願資格を得るためには、学部が指定する英語運用能力試験に関する得点帯(Band 1から4まであります)の中に入っていることが日本語で授業を受ける一般プログラムでは求められています(TAISI Programだと例えばTOEFL iBTであれば72以上、IELTS5.5以上という上の2つのBandに入っている必要があります)。また、一般プログラムでは、志望理由書の代わりに活動報告書を提出しなければならないという点を踏まえると、海外に滞在している間にボランティア活動などに積極的に参加し、そこで考えたことや学んだことをメモに取っておくのがよいでしょう(TAISI Programでは社会問題に関する1000語の英語エッセイを提出することになります)。

合否の判定は今年度から2段階で行われるようになりましたが、特に帰国生の場合には書類審査において英語運用能力試験の成績が重視されているはずで、志願者が多く集まる現状を踏まえるとBand 1(TOEFL iBT95、IELTS7.0以上)に入っておくことが一般プログラムを受験する場合でも望ましいと思われます(実際に、去年はBand 1の人しか合格しませんでした)。書類審査を通過した人だけが受けられる読解論述試験では昨年まで新聞に研究者が投稿した文章が問題文として出題され、それを要約した上で筆者の主張に対する自分の考えを述べるという形式でしたが、多くの受験生が同じような主張をすることになるような内容のものでしたので、最終的には日本語で書かれた文として読みやすいものであったかどうかという基準で合否が決定したようです。今年度からは書類審査の段階で受験生の数を絞るため、(答案の採点に手間や時間のかかる)政治経済学部のグローバル入試と同様の資料の分析などが入った問題が出題された可能性がありますが、この点については問題を入手できたときに改めてお知らせしたいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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