受験する大学や学部・学科の選び方について(3) ―帰国生大学入試についてvol. 248―

(2020年5月12日 20:00)

こんにちは。SOLの余語です。
先日、早稲田大学の帰国生入試などとほぼ同じ時期に上智大学が海外就学経験者入試の日程などが公表されました。ただし、こちらは世界各地での新型コロナウィルスの感染拡大という状況を踏まえて、高校から発行される書類の原本の提出が難しい場合にどのように対処すべきかが示されていますし、入試日程などについても変更の可能性を残した形になっています。今後、どのような対応をしていくのかを注目したいと思います。

さて、前回の記事では、受験する大学や学部・学科を決める際に「自分が大学のどのような学部・学科で何を学びたいのか」ということをしっかり考えた方がよいということを述べました。そのように考える理由には、専門的な知識などを得るだけでなく、自分なりに物事に対する考えを深めていくための方法や姿勢を身に着けるための貴重な場である大学での生活を無駄にすべきではないということがあります。それに加えて、文系学部か理系学部かの違いだけが出題内容に大きな影響を及ぼす要因となる一般入試に比べて、帰国生入試やAO入試では各学部・学科で学ぶことに合った学問的な関心を持っているかということが様々な形で問われるものがあることも考えなければなりません。

帰国生入試やAO入試の多くでは、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験での成績と小論文試験の出来が合否判定を行うための主な材料となりますが、早稲田大学の帰国生入試のように学部に関係なく同じ問題を出題するところと異なり、例えば各学科で問題が作成される上智大学の海外就学経験者入試では、小論文試験でそれぞれの学科で専門領域とされる学問に関連した文章の正しい読解ができることが求められることが多くあります(過去問を入手する方法が大学のHPに掲載されていますので、関心のある人は様々な学科のものを見比べてみてください)。そのような問題に対応するには、様々な学問分野において研究のテーマとされていることや、そのテーマについての考察をしていく際の視点のあり方、議論においてよく使われる語彙などについての理解を一定程度まで深めておくことが望ましいと言えます。

また、帰国生入試やAO入試には志望理由書の提出が求められるという特徴があり、面接試験においてその内容を基に「なぜこの学部・学科で学びたいのか」、「この学部・学科で学びたいことは何か」というような点についていくつも質問されることもあります。SOLでは、帰国生大学受験セミナーの生徒にこれらの点について我々教師陣と話をしながらじっくりと考えてもらうため、志望理由に対する自分の考えが深まっていなかったり提出した書類の内容が受験している学部・学科で学ぶことに合っていなかったりということは起こりませんし、そのようなことが原因となって面接試験で試験官に悪印象を与えるということもないようですが、進路決定について積極的なサポートをあまり行わない大手の予備校や塾の生徒が試験官の納得できるような答えを提示できずトラブルに直面することは少なくないようです(これが原因で不合格になったと思われるケースもあります)。

以上のような帰国生入試やAO入試の特徴を踏まえると、それらの入試での合格可能性を上げるためには、自分の学問的な関心がどのようなものなのかということを真剣に考えておく必要があるということになるのだと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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