受験する大学や学部・学科の選び方について(10) ―帰国生大学入試についてvol. 255―

(2020年6月26日 18:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、受験する大学や学部・学科で「何を学びたいのか」ということを判断する時に、学問的な関心の向かう先は大学での4年間を通して維持できそうなものである必要はなく、じっくりと調べたり考えたりした段階で「今、学びたい」と思えるもので問題ないということを述べました。最近読んだ英文の中で、人間の強みは自分が体験したことなどによって考え方を変えられることにあるという一節がありましたが、人にはこのような特性がある上に、18、19歳の人にとってはまだ経験したことがないことが多くあることを考えると、大学で学びたいことを考える際には「現在の自分が考えていること」に重きを置かざるを得ません。

さて、この時期になると、「まだ入学を希望する大学や学部・学科が決まっていないのですが、受験準備を進める上で問題になりますか」といったメールが受験生やその保護者から送られてくることがあります。確かに、日本の一般的な高校では高校3年生になる年度の始めに志望する大学などの選択をするように指導することが多いですし、また帰国生入試やAO入試では他の入試制度ではほとんど見られない小論文試験があり、受験する学部・学科の専門領域に関係するテーマや語彙で理解できるものをなるべく早い段階から蓄積するようにしなければそこで出題される問題には対応できないというように考えて、6月になっても受験する大学や学部・学科が決まらないことに不安を感じる人が多いのかもしれません。

しかし、首都圏の有名な私立大学の帰国生入試やAO入試の中で最も実施時期が早い早稲田大学の帰国生入試の小論文試験では、受験する学部に関係なく共通の問題が出題されますし、その直後にある同じ大学の政治経済学部のグローバル入試の論述形式の試験では使われている語彙の水準は高いこともありじっくりと読まないと内容が把握しづらい文章を読解することが求められますが、そこで扱われるテーマは日常的に新聞を読んでいる人なら一度は目にしたことがあるはずのものに関連している上に、SOLの帰国生大学受験セミナーの「共通小論文」のように生徒全員が受講する小論文の授業がある環境であれば授業内で一度はふれる可能性が高いものです。慶應義塾大学の帰国生入試で唯一、小論文試験が合否に大きな影響力を持つ法学部(他の学部は小論文の答案を面接試験での参考として使うだけです)で取り上げられるテーマも同じことが言えるでしょう。

学科の専門とする領域に合った専門性の高い内容の問題文の読解が求められる最も実施時期の早い入試は、9月下旬の上智大学の帰国生入試です。この入試への対策は、SOLのように特に専門的なものへの理解力が求められる学科の試験への対策授業があり、生徒が提出した答案が書き直しを含めて遅くとも2、3日以内で返却されるところで学んでいて、学部・学科の選択にしっかりと時間をかけた人なら、多くの場合、3ヶ月くらいで文章の理解力やそれに合わせた答案を作成する力を身につけられます(もちろん、日本語運用能力にもともと大きな問題があるというケースではより長い期間の準備が必要です)。そのため、我々は生徒に7月中旬までに受験する学部・学科を絞り込むようにと話しています。今年度受験する人はその時期を目安に自分の学問的な関心を深掘りして考えるようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

トップへ戻る