TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(4) ―英語学習の勧めvol. 173―

(2020年8月12日 10:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、TOEFL iBTと同様に、受験者の英語運用能力が英語圏の大学で学ぶのに必要な水準に達しているかを確認するためのテストであるIELTSのReadingで出題される問題がどのようなものかを説明しました。このテストのReadingでは、受験者が比較的取り組みやすいと思われる問題が見られる一方で、学問的な知識がないと正しく内容が理解できない文章や、文章全体の内容を把握してないと正しい答えを導き出すのが難しい問題もあるので、高いスコアを取るには準備をしっかりと行うことが必要になります。

海外の高校で学んでいる人が受験することが多い英語運用能力試験には、TOEFL iBTやIELTSの他にTOEICがあります。このテストは、これまでに紹介した2つのものと違い、日常生活やビジネスの現場において英語によるコミュニケーションを十分に取ることができるかということを判定するものです。その目的の違いなどから、日本の大学の帰国生入試やAO入試では、出願手続き時に提出できる正式なスコアとして認めていないものもありますが、まだ受け入れているところも少なくありません(ただし、以前とは違って、そのほとんどがReadingとListeningで構成されるL&Rテストだけでなく、WritingとSpeakingの試験であるS&Wテストの結果も求めるようになりました)。

この試験のReadingは3つのPartで構成されており、長めの文章を読むことが求められるのはPart6、7になります(Part5は文法や語彙に関する知識を確認するための空欄補充問題です)。そこで取り上げられる文章には、ビジネスの現場で交換されるメッセージ(e-mailやtexting message、注文書など様々な形式のものが見られます)、一般的な読者を対象とした新聞や雑誌に掲載される記事や広告、官公庁からのお知らせなどがあり、TOEFL iBTやIELTSで見られるものに比べると、そこで使われている語彙・表現は日常生活の中で目にするものが多く、一つ一つの文も短い上に構造が複雑なものは少ないと言えると思います。

ただし、TOEICは2016年に新しい形式を採用し、以前よりも与えられる文章の量が増えました。具体的には、Part6で出題される文章が3つから4つとなり、Part7では2つの文章がまとまった形で提示される旧形式で見られた問題だけでなく、3つの文章の内容を組み合わせて理解することが求められるものも後半に出題されるようになりました。この変更は受験者により多くの文章を75分という制限時間の中で読むことができる力があるかということを確認する目的で行われたようですが、以前の形式のテストで高いスコアを取っていただけでなく、時間的な余裕を感じていたような英語運用能力の高い人でもテスト新しいテストは厳しいものになったと感じることが少なくないようです。

このテストのPart6では、Part5と同じように語彙や文法に関する知識を確認するための空欄補充問題が主に出題される一方で、形式が新しいものになってから空欄に入れるのに適切だと思える文を選択するものが追加されました。また、Part7の問題の多くは、出題された文章の内容がある程度把握できていれば正しい答えを導き出すことができるものですが、後半に出題される複数の文章の内容を組み合わせて考えることが求められるものについては、一つ一つの文章の細かなポイントと思われるような部分が問題を解く上で重要な「鍵」になってくるものが見られますし、一つの文章が与えられる読解問題でもある文を入れるのに適切な場所を選ぶという形式のもののように2016年の改定の趣旨に合っていると考えられる問題も出題されるようになりました。

TOEICはTOEFL iBTやIELTSに比べると、海外の高校で学ぶ人にとって取り組みやすいものだと考えられますし、我々も英語運用能力が順調に伸びていない人に受験を勧めることがあります。ただし、2016年の新形式の導入で見られた変化を踏まえると、このテストのReadingでも高いスコアを取るためにはできるだけ多くの文を速く正確に読みこなす能力が必要だと言うことができると思います。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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