早稲田大学の帰国生入試と政治経済学部のグローバル入試について ―帰国生大学入試についてvol. 264―

(2020年8月28日 12:15)

こんにちは。SOLの余語です。
4月の終わりから4か月弱の間、「受験する大学や学部・学科の決め方について」というタイトルの記事を連載してきました。そこでは、一人ひとりの受験生が大学受験を「他人事」のように扱ってしまうことなどがないよう、自分なりに「大学で何を学びたいのか」ということについてしっかりと検討する時間を確保するべきと述べた上で、それをどのように進めていくべきかということを確認しました。来年度以降に受験を予定している人に参考にしてもらえればと思います(今年度に受験するものの学習意欲が湧いてこないといった問題に直面している人にとっても何か得るものがあるかもしれません)。

さて、今回から各大学で実施される4月入学者を対象とした帰国生入試やAO入試の特徴について確認していきたいと思いますが、その第1回目として筆記試験の日程が最も早い早稲田大学の2つの入試を取り上げます。

〇帰国生入試
早稲田大学では独自の入試制度で帰国生を受け入れる学部が年々増えてきた一方で、帰国生入試において全ての学部を併願することが可能なため、合格者のほとんどが他学部を選んでしまうということがあるのか、ここ数年で文学部や文化構想学部などがこの入試の実施を止め、文系の学部では法学部や商学部、教育学部の3つの学部だけが行うことになりました。

合否は、基本的にTOEFL iBTやIELTSといった外国語運用能力試験のうち学部が指定するもののスコアと今年度は9月2日に実施される筆記試験(受験が求められている科目は学部や学科によって異なります)の結果で判定されます(教育学部のほとんどの学科では、それに加えて面接試験が実施されます)。例年、国語や小論文の試験は非常に難しいか、取り組みやすいものかという形で出題内容の水準が極端に変動することがありますし、商学部の数学は文系志望の受験生にとっては難しく感じられるものが多いため、外国語運用能力試験のスコアをできるだけ高めておくことが合格するための必要条件の一つです(法学部、商学部であればTOEFL iBTのスコアが95、IELTSが7.0というのが一つの目安になります)。

出願手続き時の注意点としては、外国語運用能力試験においてスコアが有効になる期限が決まっていることで、通常は5月の終わりまでに受験をしておくことが求められることがあります(今年は新型コロナウィルスの感染拡大により期限が1ヶ月伸びました)。来年度以降に受験を考えている人はこの時期までに合格に必要な水準のスコアが取れるような形でスケジュールを組んで学習を進めましょう。

〇政治経済学部のグローバル入試
今年度から政治経済学部のグローバル入試は海外の高校を卒業した人のみが受験できるものになるはずでしたが、実際に公開された入試要項では日本の高校生も出願できるという形になっていました。このような方針変更に関係したものが何かはよく分かりませんが(世界各地における新型コロナウィルスの感染拡大でオーストラリアやニュージーランドの高校に通う人が事実上受験することが難しくなったことがあるのかもしれません)、今年度も例年通りの方針で入試が実施されるようです。

この入試の合否判定は、TOEFL iBTやIELTSなどの英語運用能力試験と日本語の読解論述試験の出来を基に行われます(2次試験として面接試験もありますが、通常は活動報告書で書いたことと志望理由のつながりが確認されるだけで、IELTS Indicatorのスコアで出願した人以外は今年もそうなると思われます)。これまでの受験結果を踏まえると、英語運用能力試験のスコアを他の学部で実施される帰国生入試ほど重視している訳ではないようで(TOEFL iBTのスコアが80以上なら合格可能性があります)、日本語の論述読解試験の出来が重要になってきますが、ここで出題される問題は5年くらい前に比べると難易度が下がったものの、説明問題を出題者が考えているような形で答えられないと大きな失点につながります。また、昨年学部内でカリキュラムの大きな変更があったことで、以前のものと比較するとより数学的な問題が出されるようになり、これに正しい答えが出せるかどうかが合否に大きな影響を持っていることに注意が必要です。受験を予定している人はこの試験のあり方に合わせた対策をしていくべきでしょう。

出願手続きにおける注意点は、帰国生入試と同じで、英語運用能力試験のスコアが有効なものと認められる期間があることです。特に、その期間が始まるのが受験する前年の12月であることを見逃してしまうケースが見られますので、その日程を入試要項で確認した上でTOEFL iBTやIELTSの受験するスケジュールを決めるようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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