今から帰国生入試やAO入試に向けて準備すべきことについて(3) ―帰国生大学入試についてvol. 313―

(2022年3月4日 18:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、今年の秋に帰国生入試やAO入試を受験する予定の人がこの時点で取り組んでおくべきものの中で最も優先順位が高いのはTOEFL iBTやIELTSといった外国語運用能力試験の対策であると述べました。これらの入試では、外国語運用能力試験の成績によって合格が期待できる大学や学部・学科が大きく異なってきますし、日本語小論文に向けた準備などを考えると、なるべく早い時期に一定の水準を超えておくべきということがこのように考える理由です。

上で外国語運用能力の成績に関して一定の水準があると言いましたが、具体的にそれはどれくらいのスコアなのかという疑問を持つ人も少なくないと思います。今回の記事では、この点について、最近、社会人になった時に有用な考え方や知識を身に付けられる実学的な学部である、もしくは経済学や心理学、異文化コミュニケーションなど幅広い分野の学問が学べるといったことから、入学を希望する人の多い商学部・経営学部で実施される帰国生入試やAO入試を例として取り上げる形で説明します。

中学校を卒業後にカナダやアメリカ、オーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学した人の中には、最終学年のこの時期でのTOEFL iBTのスコアが60台、IELTSが5.0もしくは5.5という人が少なくないかと思います。この水準のスコアを提出する形で受験を迎えることになると、首都圏の有名私立大学では日本大学商学部の帰国生選抜の合格が期待できるくらいで、英文法に対する理解はしっかりとしたものがあり、語彙や表現の知識の蓄積が不十分な人が弱点を克服するための学習をした場合に学習院大学経済学部経営学科がそれに加わるということになります(明治学院大学経済学部国際経営学科の自己推薦AO入試でも、書類審査の段階で不合格になってしまう可能性が高いです)。

IELTSのスコアが6.0まで伸びると、日本語小論文対策をしっかりとできる環境で学んでいてそれを最大限に活用することができれば、中央大学商学部の英語運用能力特別入試が視野に入ってきますし、国公立大学ではSATのmath testでよい成績を収めた人は横浜市立大学の国際商学部でも合格可能性が出てくるでしょう。そして、6.5になった段階では、企業などと提携して実習的な授業を多く設けている立教大学の経営学部に挑戦しても問題がないということになりますし、TOEFL iBTのスコアが85くらいまで伸び数学の試験に対応する能力が高ければ早稲田大学商学部の受験を考えてもいいかもしれません(ただし、海外の高校で数学の成績がよかったというくらいでは合格が期待できず、受験生の中でもトップクラスの実力を備えていなければなりません)。

首都圏の有名私立大学の中では出願手続きの際に提出する書類の内容と合格可能性に最も強いつながりがある慶應義塾大学の帰国生入試において、商学部で合格を期待できるのは、英語運用能力試験の成績に限って言えばTOEFL iBTのスコアで100以上、IELTSならば7.0以上の人となります。このように、外国語運用能力試験の成績によって合格が期待できる入試が大きく異なってくるため、この時期に行う受験準備として最も重要なのは、その対策ということになるのです。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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