早稲田大学政治経済学部のグローバル入試について ―帰国生大学入試についてvol. 330―

(2022年8月5日 20:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、日本の大学の帰国生入試や海外の教育機関で学んだ経験のある人が受験することの多いAO入試の中で、出願手続き期間や入試日が最も早い時期に設定されている早稲田大学の帰国生入試の概要を紹介しました。この入試は試験の内容を見る限り、TOEFL iBTやIELTSの成績で合否が決まってしまうことが多いようですし、一部の人に合格者が偏ってしまう形で実施されているため、前者では95、後者では7.0というラインを超えておくことが望ましいでしょう。

さて、早稲田大学には様々な学部がありますが、社会的な評価が最も高く、入試に関する改革についても大きな注目を集めているのが政治経済学部だと思われます。この学部は、政治学科や経済学科、国際政治経済学科の3つの学科で構成され、いずれの学科でも日本語もしくは英語で専門性の高い授業が受けられるだけでなく、教員:学生の比率も国立大学に近い数値となっていたり、学生が利用できるリソース(例えば、統計処理のためのPCソフト)が他学部では見られない水準で揃えられたりしているので、社会科学系の学問を学びたい人にとっては理想的な環境が整っていると言えるでしょう。大学全体の運営に関する資源がここに偏った形で投入されていること(キャンパスに行ったことがある人なら校舎の雰囲気を見ただけでもそのことが確認できると思います)には公平性の観点で疑問が残るものの、学生の能力を十分に引き出す条件が揃っていると考えられるので、我々も合格可能性がある人には受験することを勧めています。

この学部のグローバル入試の受験を考えている人にとってまず気になるのが、出願手続き時に提出する活動報告書の内容としてどのようなものが適当かという点だと思います。これは以前に別の記事でも述べましたが、この書類は基本的に面接試験を行う際の資料として用いられるものですし、面接試験自体がそれほど厳しく行われるものではない(基本的に志望理由はどのようなものか、それがこの学部で学べることと合っているかの確認です)ため、活動実績が人の目の引くものでなければならないということはありません。ただし、大学入学後に学びたいこととの関連性について確認が入ることが多いので、その観点からこの書類に記載する活動を選ぶようにした方がいいと思います。

合否の判断は、基本的にTOEFL iBTやIELTSのスコアと日本語による読解論述試験の出来によって行われます。この入試はAO入試からグローバル入試に名前が変わった後も何年かは日本の教育機関で学んだ経験しかない人でも出願資格が得られる形になっていたので、SOLの生徒の中にはTOEFL iBTのスコアが60台でも日本語の読解論述試験で誤った答えを書かなければ合格した人もいましたが、今は出願資格を確認すると実質的に帰国生入試になっているので、受験を考えている人にはTOEFL iBTで95、IELTSで7.0というラインを超えることを目指すよう案内しています。

また、日本語での読解論述試験において、以前は社会科学系のテーマを扱う新書からA4用紙で6~8枚の問題文が出題され、それに図表を作成する問題や問題文中にある重要な箇所に関する説明を求めるもの、問題文に関連したトピックに関する小論文を書くものが出題されていました。その後、問題文などの難易度が大きく変動することが何年か続きましたが、ここ2年はそれが以前の水準に戻った上に、政治経済学部のカリキュラムの変更やそれに合わせた一般入試の変化に伴って、数学的な処理が必要な問題が見られるようになりました。特に経済学科を受験する場合には最後に述べたような問題に対応する能力を伸ばす必要がありますし、それ以外のものに関してはまずは問題文を隅々まで正確に読み込めるようになるための取り組みを行うことが対策になります。

この入試の出願手続き期間は例年7月中旬から下旬までになっており(今年度は7月15日~7月22日でした)、筆記試験は8月最終週か9月の最初の週の週末に実施されます(今年度は9月4日です)。出願手続き時に提出する書類に複雑なところはありませんが、TOEFL iBTやIELTSのスコアレポートに関して提出を認めるものが受験する前の年の12月から翌年の7月初旬に受験したものに限定されていること(今年度は2021年12月1日~2022年7月5日という期間でした)に注意しましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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