〇海外の高校に単身留学している人が日本の高校に編入しようとする際には全日制の高校が候補になると思います。
〇しかし、編入試験のあり方や入学後の生活を考えると、通信制高校の方が現実的です。
単身留学生が日本の高校に編入した場合の大学受験のあり方について(4)―帰国生の大学受験についてvol. 389―
(2026年5月23日 14:30)
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今回のポイント |
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こんにちは。SOLの余語です。
前回までの3つの記事では、海外で生活する中で精神状態などに関連する大きな問題に直面した人が日本に帰国しようとした際に周りの大人から投げかけられることがある「日本の高校に編入してしまうと、大学受験で帰国生入試や総合型選抜の出願資格が得られなくなる」という言葉が事実に基づいたものかについて、入試要項を引用しながら確認しました。特に帰国生入試において、一定の期間海外の学校に在籍していないと受験できないものがあるものの、総合型選抜を中心に出願できるものを揃えることができます。
さて、例えば英語圏の国に単身留学していた人が日本の高校に編入を希望する場合には、まず公立、私立を問わず全日制の高校(全ての授業に出席することが求められる高校です)がその候補になるかと思います。しかし、その編入試験の要項を見ると、出願資格を得るための条件に「保護者の海外転勤に同行していること」が入っている(条件の欄に記載されていないものでも「海外在留期間証明書」のような書類を保護者が勤務する企業や団体が発行することになっているものがあります)ため、この時点で諦めてしまうことが多いはずです。
また、出願資格を満たすことのできる編入試験が見つけられたとしても、実施される時期が海外の高校のスケジュールに合わないことがありますし、試験も国語(古文や漢文も含まれることが多いです)、数学、英語に関して編入しようと考えている学年相当の学力があるかを判定するものがほとんどで、特に海外の高校で出される課題をこなすことが大きな負担となっているケースでは、編入試験の対策を並行で進めて行くことによって精神状態がより追い込まれてしまう可能性があります。
中には英語でエッセイを書いたり口頭試問に対応したりすることのみが試験科目になっているところもありますが、このような高校は英語運用能力が高い人に大学の帰国生入試や総合型選抜を受験してもらって大学進学実績の見映えをよいものにすることを目的として編入試験を実施しているのが通常です。英語でのコミュニケーションがうまくいかないことが問題で日本に帰国することを考えている場合には合格することが難しいでしょう。
全日制の高校への編入に関しては、ここまで述べたような入学先を見つける段階で直面する困難だけでなく、例えば海外の高校で取得した単位を日本の高校のものに変換する基準が厳しいために卒業までの期間が長くなってしまうという問題があります。それに加えて、最近は生徒に総合型選抜の受験を勧める高校が増えてきたものの、その対策としてどのようなことをすればいいのかについての理解が十分にある教員が少ない、授業やイベントなどの日程が帰国生入試や総合型選抜の受験を踏まえた形で設定されていないということもその準備をスムーズに進めることを妨げる要因となります。
このようなことを考えると、海外に単身留学していた人が日本の高校への編入を考えるとしたら、入学する時期が比較的柔軟に設定されているだけでなく、試験のための準備が必要ない、そして単位認定の基準も厳格ではない通信制高校を選択するのが現実的です。しかし、通信制高校から帰国生入試や総合型選抜を受験するとその他の受験生に比べて不利な状況に置かれるのではないかと考える人もいるかと思います。次回の記事ではその点について考えてみましょう。
それでは、日本の大学の帰国生入試や総合型選抜の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
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