日本の高校に編入した帰国生の大学受験に関して ―帰国生大学入試についてvol.18―

(2011年1月31日 14:58)


こんにちは。SOLの余語です。
日本の高校に通う人の中には、保護者の仕事の都合で海外の高校を卒業せずに日本に帰国し、今通っている高校に編入したという人がいると思います。また、海外生の中にも今年の4月や6月に日本の高校に編入することになっているという人がいるでしょう。そのような人から、自分は帰国子女枠入試で日本の大学を受験できるのかという質問を受けることがあります。

帰国子女枠大学入試の出願要項を見ると、国立大学では、滞在地の高校で最終学年を修了していることや、統一試験の受験などで大学入学資格を取得していることを出願要件としているところが多くあります。しかし、私立大学では、日本の高校に編入してから大学入学までの期間に関する条件などがクリアできれば、日本の高校に編入した帰国生の帰国子女枠での受験を認めるという大学が多数派です。

有名私立大学に限って言えば、早稲田大学は、滞在地の高校の最終学年を修了していること(もしくは、修了見込みであること)を帰国生入試の出願要件としていますが、ICUでは、海外の中学校、高校に継続して2年以上在籍した経験があれば、日本の高校生でも帰国生入試を受験することが可能です。また、上智大学では、海外の教育機関に在籍した期間と日本に帰国してから大学に入学するまでの期間に関する要件があり、海外の教育機関に継続して3年間在籍した場合には、日本の教育機関に編入してから大学入学までが5年未満の期間に収まるのであれば、帰国子女枠での受験が認められています。

このように、日本の高校に編入した帰国生が帰国子女枠で受験できる大学は、他にも慶応義塾大学や明治大学、中央大学、立教大学、青山学院大学などがあります(ただし、大学によっては、ある学部では認めるが、その他では認めないというところがあることに注意が必要です。また、慶応義塾大は書類選考ですので、大学入学用の統一試験がない日本の高校からの出願は基本的に不利です)。そして、海外での生活体験の中で高い英語運用能力を習得していれば、自己推薦入試やその他のAO入試を利用するという形で、大学入試に臨む際の選択肢を広げることが可能です。

例えば、青山学院大学文学部英米文学科では、2010年度から帰国子女枠での大学入試を廃止し、英語資格取得者自己推薦入試という入試枠を設けましたが、ここでは出願要件にTOEIC730点以上、TOEFL iBT68点以上という条件があり、日本語と英語の小論文という、その他の大学や青山学院大学の学部の帰国子女枠入試と同様の試験科目が課されることになります。また、早稲田大学政治経済学部では、2011年度から2種類あったAO入試を統合し、一般の高校生と帰国生を合わせて対象としたものが実施されます。その中では、日本語小論文とTOEFL iBTの得点で合否を決めることになりますが、帰国生入試の対策をしてきた、高い英語運用能力を持つ人にとっては有利なものになることは間違いないでしょう。

この他にも、立教大学の自由選抜入試や同志社大学のAO入試などで、海外で習得した英語運用能力を活かして受験できるところがありますし、さらに、日本の高校での評定平均値が一定の水準を超えていれば、上智大学外国語学部英語学科の公募推薦入試といった、帰国生が合格しやすい試験を利用することもできます(この学科は、帰国生入試で受験する帰国生よりも公募推薦入試で受験する帰国生を高く評価しているようです)。

海外で生活を送った経験が、AO入試や自己推薦入試で求められる志望理由書・活動報告書などを作成する際に印象に残る文章を書くことにつながったということも多く見られることです。多くの大学ではここまでで述べてきた入試と一般入試の併願が可能ですし、帰国生入試やAO入試の受験準備を行っていく中での方が、大学で学んでいく上で必要なものを習得できる可能性が大きいことは、これまでも折にふれて述べてきた通りです。海外に滞在した経験のある日本の高校生には、帰国生入試やAO入試の受験を考えてもらえればと思います。

それでは、今回の内容についてご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。帰国枠入試・AO入試・自己推薦入試を目標として準備するか、一般入試に向けた準備にするかは、まさに今判断すべきことですので、お気軽にご相談いただければと思います。

【お問合せフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/


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