現在完了形(the present perfect)の用法を確認しましょうvol.6 ―英語学習の勧めvol.55―

(2011年4月11日 14:24)

こんにちは。SOLの余語です。
前回までの記事で、現在完了形の用法について説明してきましたが、そこで説明したいずれの用法も「過去に何かをしたことがある(そして、それを引き続きしている)」という現在の状態を表すためのものでした。このような現在完了形を用いるには、いくつか注意点がありますが、今回はその一つを紹介したいと思います。

帰国生や海外生に、「彼はアメリカ合衆国に行ったことがあります」という、現在までの経験を述べる文を書くように言うと、以下のような英文を書く人がいます。

He went to the United States of America.
He has gone to the United States of America.


上の過去形を用いた文は、過去のある一時点や一定の期間に行った動作を表すものになるということはこれまでの記事でも述べてきた通りですが、それを考えると現在までの経験について述べるのには不適当な表現であると言えるでしょう(過去にある行為をしたということを示しているので、現在までの経験を表していると言えそうですが、それは間接的なニュアンスとして表されるに過ぎません)。

一方、下の例文は、現在までの経験を表すための現在完了形の形になっています(goneの部分をwentと書く人もいますが、そのように書いてしまった人は完了形や受身の文で動詞がどのような形になるのかについて、辞書などを使って理解を深める必要があります)。しかし、have gone to ~という表現は、現在完了形の「経験用法」ではなく、「完了用法」と結びつきの深いものだと一般的に考えられています(ただし、アメリカ英語の口語では「経験用法」のものとすることがあるようです)。よって、この文は「彼はアメリカ合衆国に行ったきり、ここには帰って来ていない」ということを表すことになるのです。

それでは、「~に行ったことがある」という現在までの経験を表すには、どのような表現を用いるのが適当なのかということになりますが、have been to ~という形で表現するのが正しいとされています。上の問題で言えば、以下のような文を書くのが正解です。

He has been to the United States of America before.

なお、同じhave beenという形でも、その後に続くのがtoではなくinの場合には、「継続用法」の文と考えられており、上の文の場合では、「彼はアメリカ合衆国に行って、現在もそのままいます」という意味を示すことになります。このように、完了形の文では、ある単語や表現が特定の場面でしか使えないということがありますので、この点を辞書などで確認しながら学習するようにしましょう。

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