仮定法は将来のことを表すのに使えるのでしょうか?vol.2 ―英語学習の勧めvol.80―

(2011年6月22日 19:05)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、事実に反する仮定を述べる時の表現である仮定法を、まだ事実と呼べるような物事が生じていない将来についての仮定を表す時に使えるのかということを考えました。その際、ifで始まる条件を示す部分にshouldを入れる形で、「万が一~」というニュアンスを含む内容であれば仮定法を使うことができることを説明しましたが、今回はそこで紹介できなかったもう一つの表現を紹介しておきたいと思います。

事実であると判定できる物事がまだ生じていない将来のことについて仮定法を用いるのは、論理的に筋が通らないことです(もっとも、言語は事実と常に照合されるものではなく、話し手が事実として語りたいのかどうかだけが重要であることを考えれば、事実との対応に論理を求める必要などなく、筋が通らないように見えても問題ありません)。ですので、今回紹介する表現も、将来起こることが確実であると頭の中で考えていることに反する状況などを表す際に用いられます。それは、例えば、以下のような形です。

If another problem were to happen, the prospects for capitalism would be diminished.

この文は、prospectという未来の時間帯を表す言葉が入っていることから将来の状況について述べていることが明白ですが、それでも仮定法過去の形になっています。条件を示す部分の述語部にあるwere to do ~が、前回説明したshouldと同じような役割を果たすために、将来の事柄であっても仮定法過去を使ってもよいということになるわけです。

この表現には注意点が一つあります。上の例文でもそうですが、主語として単数形の語や数えることのできない名詞が置かれた場合でも、基本的にはwere to do ~という形になるということです(口語ではwas to do ~とする場合もあるようですが、書き言葉としては誤りとされる可能性が高いです)。以下に、例文を辞書からいくつか引用しておきますので、述語部の形が一定であることを確認してみてください。

If war were to come upon us in these circumstances, we would suffer appalling losses.
If the computer were to fail, the impact on the city's infrastructure would be significant.
If I was to put them in a situation where their lives were at risk and they were to be killed, I could not live with that.


なお、最後に一つ確認ですが、ここまでの2回で述べたような表現は、そこで述べていることが「万が一」の出来事である場合のみに使うことができます。それ以外の時には、将来の状況などに関する仮定(文法用語としては、事実に反するものを指す「仮定」という語とは別に「条件」と呼んでいます)は以下のような表現を使って述べることが一般的であることを忘れないでください。

If no one succeeds in obtaining at least 51 per cent of the vote, the English bank will remain independent.

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