南半球の高校に単身留学している人の大学受験についてvol.13 ―帰国生大学入試についてvol.60―

(2012年1月16日 17:25)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、早めに受験準備を始めることで日本の大学の帰国生入試に関する正確かつ全般的な情報を得ることができ、そしてそれがオーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学している人にとって重要なことであるということを述べました。この記事を読んで、確かに帰国生入試の全般的な情報を得ることは志望校を決定する際に必要不可欠なものだが、実際にそのようなプロセスを進めるに当たっては、自分が何を大学で学びたいと考えているのかということを確定することも同様に大切だと考えた人もいるかもしれません。


しかし、この点でも帰国生入試の対策に早くから取り組むことは大きな役割を果たします。海外の高校では、日本の高校と違って、EconomicsやLaw、Psychologyといった日本語で言えば「…学」という個別の学問に関する授業が設けられており、帰国生や海外生は、一つ一つの学部・学科で扱う学問がどのようなものかということに関する理解をした上で志望する学部や学科を決定する機会に恵まれているということができます。ただし、そこで扱う内容が入門的なものであるためか、受験準備を始めるまでに自分の希望の進路が決まらないというのは珍しいことではありません(決まったとしても、「これでいいのだろうか」という不安を抱えている人も多くいます)。


このような人は一般的に、小論文試験の対策学習をする中で様々な学問的分野の文章にふれることで、自分の関心のあるものを絞り込んでいくというのが一般的です。例えば、上智大学の帰国生入試対策では過去問に取り組むことになりますが、そこで問題文になっているのは、法学部法律学科であれば裁判員制度や相続、法の解釈に関する理論についてのもの、また環境法学科であればRecycle、Reuse、Reduceの3Rや企業の社会的責任について述べたものというように、それぞれの学科で取り扱う学問やそれに関連した時事問題に関する文章です。また、他の予備校や塾のことはよく分かりませんが、SOLの授業では、少子高齢化社会やグローバル化、生物多様性などの地球環境問題といった問題について、法学や経済学、社会学、哲学などの視点から分析した文章を出題しています。


高校生でも理解できるものであるとは言え、上で述べたような学術的文章を読む中で、どの学問の視点で書かれたものが自分にとって無理なく読み込むことができ、その内容をいかに正確な理解をすることができるのかを確認すること(この点では、親が子供にできるだけよい教育を受けさせようとすることを、自分がよりよい老後を迎えるための投資と捉える経済学的な考え方に関する文章などは一つのいい題材になります)が、自分の学部・学科に関する志向を把握することにつながります。そして、できるだけ多くの文章にふれる機会を確保することによって、受験する学部・学科について自分がした決定に確信を持てるようになるでしょう。


南半球の高校生にとって早めに入試対策の学習を始めることは、このような観点でも、受験生活を充実したものにしてくれると言えそうです。今年の秋に帰国生入試を受験する予定の人で、この12月・1月の休暇中に十分な学習機会を持てなかった人は、滞在地に帰る前にできるだけ多くの新書などを購入し、3月・4月の休暇までにそれを読み込むようにしてください(ただし、自分で本を読むだけでは、その内容を正確に理解できているかどうかは分かりません。自分の理解の正確さを確認するための何らかの取り組みをすることが必要になります)。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


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