南半球の高校に単身留学している人の大学受験についてvol.11 ―帰国生大学入試についてvol.58―

(2012年1月9日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、方向性の異なる様々なものに手を出さずに済むということから、オーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学をしている人は早めに受験準備を始めるべきと述べました。そこでは、インターネット上などで必要性が高いものとされることのある、アメリカの教育制度の大学入学資格取得試験SATの受験を例に挙げましたが、これは帰国生入試において出願条件に含める大学が増えているTOEFL iBTやTOEICの受験をどのように進めるのかということに関しても同じことが言えます。

TOEFL iBTとTOEICでは、前者にのみSpeakingやWritingといった受験者の英語での表現能力を問うセクションがあるということや、TOEFL iBTが学問的な内容を出題するのに対し、TOEICはビジネスの世界や日常生活においてよく目にする書類や広告などを問題にすることが多いという点に違いがあります。そして、TOEICのPart5、6のような基礎的な文法事項に対する理解を直接的に問う問題の有無ということも2つのテストの異なる点としては重要です。

TOEICのPart5、6の空欄補充問題では、1つの英文が成立するにはどのような種類の語が揃っていることが必要か、語と語の組み合わせにはどのようなルールがあるのかといった文法的な知識が習得できているかといったことが試されますが、このような文法的なルールを正しく理解できていることは、文章を読解する場面であれば、文構造やその内容を正確に把握するために必要です。また、エッセイを書く上でも不可欠なものだと言えるでしょう(特に、TOEFL iBTのWritingでは、エッセイなどの内容よりも文法的に正しい文が書けているか、適切な形で単語を使えているかという形式的な面を重視しており、上で述べたような知識が重要性の高いものとなります)。

このようなことを考えると、TOEICのPart5や6で70%程度の正答率がなく、英文法の基礎的なルールについての理解が足りない段階では、TOEFL iBT向けの教材や単語集での学習にどれだけ熱心に取り組んでも、そのスコアが65~70といったところから伸びないという傾向が一般的に見られることも納得できます。そのため、TOEFL iBTだけでなく、TOEICを受験する機会が多く確保されているような状況にいるのであれば、まずはTOEICを受験して、自分の英文法に対する理解度を試し、Reading Testのスコアが300に届かない人はその水準を超えるということを第一目標とするべきです。

この点、オーストラリアやニュージーランドでは、ワーキングホリデーなどで滞在する人が多いためか、TOEICの受験が比較的容易にできる状況にありますが、単身留学生の中には、基礎的な文法事項の習得ができていない段階でTOEFL iBTの受験に専念したり、これら2つのテストを交互に受験したりして、スコアが伸び悩むという事態に直面する人がいるようです。日本の大学の帰国生入試でもTOEFL iBTのスコアの提出のみを認める大学が多いのは確かですが、ここまでで述べたような形で学習を進めないと、TOEFL iBTで十分なスコアは取得できないということに注意が必要です。

受験準備を早めに始めるということは、上で述べたようなことを早めに確認することにもつながります。その点でも、これまでのブログ記事で述べてきた南半球の高校に単身留学した人が抱えることの多い問題への対策は、自分の実力では対応できないものに手を出すことを避けるという意味で、受験準備において無駄なことをしないということを可能にするでしょう。

それでは、次回は受験準備を早めに始めることの他のメリットについて述べる予定です。なお、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。

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