中国語圏の国の現地校に通う人の大学受験についてvol. 1―帰国生大学入試についてvol.65―

(2012年2月15日 15:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回まで、オーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学している人の大学受験についての記事を掲載してきました。このような連載を行ってきた背景には、日本の大学の帰国生入試の受験において、これらの国への単身留学生が不利な立場に置かれているということがありましたが、中国や台湾といった中国語圏の国の現地校に通っている人も同じ様な状況にいると言えます(ただし、国際部などでIB Diplomaコースのような英語を使った授業を中心としたカリキュラムを履修している人は除きます)。


日本の大学の帰国生入試は、北半球の国々の教育制度を基に制度設計がなされているということは、今までに繰り返し述べてきました。「北半球の国々」と言うと、中国語圏の国々も含まれるように思えますが、学科試験の科目を見ると、入試に外国語試験がある大学でも、それは英語試験だけ(もしくは、英語、フランス語、ドイツ語の試験から1つを選択)を意味していることが多いですし、外国語試験がない大学でも、ICUや法政大学の帰国生入試や早稲田大学政治経済学部のAO入試のように、外国語試験の代わりとしてTOEFL iBTやTOEICなど、英語運用能力試験のスコアの提出を求めることがあります。


また、これは極端なケースですが、明治大学政治経済学部では中国の現地校を卒業した人に、アメリカの大学入学資格取得試験であるSATを受験することを出願条件の一つとして求めています(これは今年度の要項で、来年度は変更になる可能性があります。なお、この点に関して出願要項では同様な出願条件を設定しているように思われる早稲田大学の帰国生入試では、旧HSKで6級以上、新HSKで5級以上を取得していることという、中国の大学に中国以外の国の出身者が入学を希望する際の条件を満たすことができれば、出願資格を得ることができます)。


つまり、上の「北半球の国々」という表現には欧米圏以外の国々は含まないと考える傾向が日本の大学にはあるのです(IBは特定の国の教育制度とは言えませんが、授業の多くは英語で行われていることから、ここでは「欧米圏の国々の教育制度」に含めます)。このような状況では、英語を用いた授業が多くあるわけではなく、またクラスメートの大半が英語に第二言語として接している人という環境である中国語圏の国の現地校に通う人は、受験校の選定や実際の受験の場面において、英語圏の国々の現地校や国際校に通う人に比べてより多くの困難に直面することになります。特に、首都圏の有名大学の帰国生入試における競争は激しいものであり、多くの大学で合格するのに以前の記事で述べたような高い英語運用能力を必要とするため、合格することはより厳しいということになるのです。


それでは、中国語圏の国の高校に通う人はどのような形で受験準備を進めていくべきでしょうか。次回から2012年度に帰国生入試の受験を考えている人が今から何をなすべきかということを説明しますので、参考にしてもらえればと思います。


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