帰国生大学受験セミナー通信vol.9―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.32―

(2012年8月23日 18:25)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語の語彙学習を効率よく行うために、集団授業で用いる長文読解教材に施している工夫について述べました。これは、語彙の定着には何らかの形で思考することが必要不可欠であるといった、英語学習法の研究から生み出された知見を活用したものですが、生徒が自発的に語彙学習に取り組んでもらえるように、他の研究成果も教材に取り込むようにしています。


例えば、この教材では、そこで取り上げた長文とそれに伴う読解問題の間に、Range32というソフトで問題文を解析した結果の表を掲載しています。このソフトは、以前に紹介した語彙力確認テストと同様に、英語の語彙学習を対象とした研究の中で作られたものであり、文章中で用いられた単語を英語圏での使用頻度に基づいて分類するものです。具体的には、全ての単語を「最頻出の1000語」、「次に頻出の1000語」、「学術用語の中で重要性の高いもの」、「これらのリストには掲載されていないもの」の4つのカテゴリーに分け、それぞれに該当するものが全体の何パーセントあるのかということが一目で分かる形で表示してくれます。


※Range32の「1語」は、単語の数え方に関して、語彙学習の研究の世界で最も厳格な考え方である、ワードファミリーという概念に基づいて定義されています。この概念を基準とすると、全ての単語は元になる語(例えば、depend)と派生語(前の例に合わせると、depended、dependenceやindependence、dependentなど)に分けられ、派生語は元になる語と同じものとして扱われます。つまり、仮にある元になる語1語とその派生語5語で構成される文章があったとしたら、その文を構成する単語は「1語」ということになります。


僕らが教材を作成する時には、文章中にある全ての単語のうち、65~80%が「最頻出の1000語」、10~20%が2つ目のリストに掲載されているもの、5%が重要な学術用語で構成されている文章を選ぶようにしています(これらの3つのリストにないものは、多くの場合、人名や地名といった固有名詞で、どの文章でも一定の割合で含まれます)。また、セミナーの始めの方で取り組む教材では「最頻出の1000語」の割合がなるべく高いものを選び、順を追ってそれが低くなっていくような形で教材を作成できるという点で、このRange32というソフトが大いに役立っています。


人間は文章中に使用されている単語の99%が理解できていないと、文章を「スラスラと読めている」という感覚を持てないと言われていますが、SOLの教材で使用している文章は英語圏の大学1・2年生も読者として想定されているものですので、全ての生徒に始めからそのような感覚が持てるかどうかで自分の学習目標を決めるように求めるのは酷な話です。それでも、「この文章は比較的読みやすかった」という判断基準で考えてもらえれば、このRange32の分析結果に基づいて、語彙学習において自分に必要なものを見極めてもらえると考えています(もちろん、生徒個人で判断できない場合には、教師との面談で学習目標を定めるようにしています)。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


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