帰国生大学受験セミナー通信vol.13 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.36―

(2012年9月10日 10:35)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、志望理由書の作成やそのサポートに時間や手間を費やすことに関して、入学を希望する学部・学科を見直す機会を確保することが可能になるという意義があると述べました。今回もこのような作業に注力することによって得られるものを取り上げたいと思いますが、それは小論文の学習に関連するものです。


以前に指導した生徒に、南半球の国の高校に通っていたKさんという人がいます。彼女は集中して受験準備に取り組める期間が短かったということもあり、説得力のある小論文を書くことに困難を感じていました。特に、自分の考えに合った論拠や具体例を揃えることが難しかったようで、受験期が迫ってきても答案に前島や僕が付ける評価がなかなか上がりませんでした。


しかし、ある大学の志望理由書を作成していく中で、小論文を書くことに対するアプローチにも変化が見られるようになり、説得力の伴う文章とはどのようなものかということに対する理解や、文章中で用いるのに適当な具体例や論拠に関する判断力を徐々に習得していることが、彼女の提出する答案から窺われるようになりました。この背景には、小論文問題で扱われるような社会問題やその他の学問的な事項に関する知識や理解が不足していたこともあるかと思いますが、それらの事柄と自分の生活世界とのつながりが実感できず、自分の主張を形作る中で真剣に考察しようという姿勢を徹底することが難しいということも関係しているはずです。


このような問題に高校3年生ぐらいの年頃の人が直面することは珍しいことではありません。多くの場合、小論文の学習においては実際に文章を書き(または、返却された答案を書き直し)、それを添削してもらう機会を多く持つことで問題状況を克服していくものですが、人によっては小論文の教師と問題文の内容について話すことや、自分なりに読書体験を蓄積したり、よく見るテレビ番組で社会問題に関するレポートが報道されているのを目にしたりすることによって、小論文問題で取り上げられるような事柄と自分の生活世界の間にあるつながりを実感する人もいます(これらの体験をどの程度積み上げればいいのかについても個人差が見られます)。


一方で、Kさんのケースのように、特定の大学や学部・学科で自分が何を学びたいかという個人的な問題に対する答えを文章化しようとする(そして、それに伴い教師と対話する)中で、物事を考察したり自分の考えをまとめたりする際に取るべき姿勢というものを身に付けるということもあり得るのです。この例でも見られる通り、小論文を書くために重要なものを習得する機会は偏在していることを考えると、志望理由書を作成するという時間も無駄にするべきではないということになると思います。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/



トップへ戻る