TOEFL iBT対策の事前準備としてTOEICの学習を行なうことの必要性についてvol.3 ―英語学習の勧めvol.145―

(2013年10月2日 19:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、TOEFL iBTのスコアを短い間で上げるにはWriting SectionやSpeaking Sectionの対策を先行させることが一つの選択肢であることを述べました。このように考える理由には、これら2つのセクションの採点基準が大雑把な形で設定されていると推測されることや、自分が受験時に理解していたり記憶したりしている事柄を活用できるということがあります。


ただし、上のような方向性で学習を進める際には注意すべき点があります。第二言語学習研究の領域では、学習対象である言語に関する知識で身に付いているものが少ない段階で、話したり書いたりといった自発的な表現行為をすることを求められると、母語の影響を強く受けた形でその言語を用いてしまうということが確認されています。例えば、英語の動詞には自動詞・他動詞の区別があることを理解していない、もしくはdiscussが他動詞であることを知らない人が「昨日、その問題について先生と話した」ということを英語で表現しようとして、I discussed about the problem yesterday.と言ってしまうというケースがこれに当たります(日本語の「~について」に対応するaboutを入れてしまうということです)。


このような誤った形で言語を用いることが早い段階で矯正されず繰り返されてしまうということがあると、それが定着してしまい文法や語法の観点から正しく使うことができなくなるというケースがあるようですが、日本語と英語は言語学的に異なる部分が多く、それぞれを外国語として学習することは難しいと評価されていることを考えると、日本語を母語とする人は英語を学習する際には注意を払うべき問題であるということになります。日本人が英語を使って自発的な表現行為をする場合には、その前に英語の基礎的な成り立ちについての理解を一定程度身に付けておくべきです。


この点でも、TOEFL iBTの対策を行なう以前にTOEICのPart 5、6に関する教材を用いて学習することに意義があると言えますし、英文法の教材を使うことに心理的な抵抗を感じない人は日本で高校1年生の人が学ぶ程度の文法事項を確認することもよいと思います(今回の記事で述べたことは、TOEFL iBT対策に限定されず、海外で学校生活を送るようになったことで急に英語を日常的に使うことが求められるようになった場合も同様に当てはまります。海外に行くことが決まったら、実際に渡航する前に出来るだけ英語の文法や語法がどれだけ習得できているかを確認し、足りない部分を補うように努めるべきです)。


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