北半球の高校生の受験準備に関してvol.11 ―帰国生大学入試についてvol.153―

(2013年2月1日 18:35)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、アメリカ以外の英語圏の国の教育制度やIB Diplomaコースで学んでいる人が順調に英語運用能力を伸ばしている場合に、より自由自在に英語を読み書きできるようになることを目標にSATを受験することの妥当性を検討しました。大学での学びを充実させるのに必要なものを得られることも考えると、SAT対策に時間を割くより高校での学習に集中すべきだと思います。


IB Diplomaコースやその他の教育制度における大学入学資格取得のための課程などで学ぶ人は、課題が多く出されるといった理由で忙しい日々を過ごすのが一般的だと聞いています。これを踏まえると、上のような教育制度で高い成績を取ることを目標としている人が「暇で暇でしょうがない」という状態になっていることは考えにくいのですが、何事にも例外はつきものです。もしこの例外的なケースに当たる人がいたとしたら、僕は日本語で書かれた新書などを読むことをお勧めします。


日本の大学の帰国生入試やAO入試に向けた準備における読書の効用については「SOL帰国生大学受験セミナーについて」のvol. 47で述べた通りですが、日本語で学問の入門書的な書籍を読み込むことは(特に、英語よりも日本語の方が優位な人にとって)高校での学習をより充実させることにもつながります。自分の母語が使われている教育機関で専門的な高等教育を受けてから外国に留学するというのは、日本に限らず世界的によくある現象です。外国語で書かれた学問的な内容を持つ文献に当たった時に、母語を使ってそれに関する知識を理解していれば、そこにある文の構造が複雑すぎて把握できなかったり、意味のわからない語彙や表現があったりしても読み進むことができるということは実際に大学などで海外留学をした人には経験的に了解してもらえることでしょうが、このような傾向を考慮した場合、こうした現象は好ましいものとして評価されるべきだと思います。


そもそも抽象的な内容の語彙や文を理解するのは母語を用いて行なうとしても、非常に高い知的負荷がかかるものです。それを親しみがある言語だとは言え、外国語で書かれたものを理解する作業と同時に進めることは困難なことだというのは想像に難くないことですので、人によってはその理解度が低いままの状態が維持されてしまい、学習に対する意欲が阻害されることも考えられます。高校での最終的な成績を高いものにするためには学習意欲が活発な状態に保たれることが必要条件の一つであることを考えると、時間のある時に自分の母語で書かれた年齢相応の内容を持つ本を読みことを通じて、これから自分が取り組むことになる学問がどのような形で研究を進めており、何を中心的な課題としているかについての理解を深めておくのが望ましいと思います。


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