北半球の高校生の受験準備に関してvol.13 ―帰国生大学入試についてvol.155―

(2013年2月11日 16:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、高校在学中の社会的な活動について、志望理由書などの出願手続き時に提出する書類の作成を容易にしてくれるという観点から、積極的に取り組むべきということを述べました。帰国生入試やAO入試は出願条件が複雑なものであることが多く、大学の事務局との間でトラブルが生じやすいことを考えると、出願手続きに関わるその他の面ではなるべく時間を節約すべきであり、そのために受験準備に入る前に「話のネタ」になりそうなものを準備しておく必要があります。


さて、高校生活において様々な活動に取り組むことは、帰国生入試やAO入試での合否に直接的な影響を与える場合があります。例えば、書類成績と面接試験の結果に基づいて合格者の選定を行なう慶應義塾大学の帰国生入試では、その対策として統一試験のスコアや高校の成績を上げることのみに重点が置かれることが一般的です。しかし、例年、通常であれば合格してもおかしくないだけの成績を取得しているのに、不合格という結果に終わるという受験生もいると聞いています。このようなケースにおいては、面接試験において高校内外での活動について問われ、積極的な態度で臨んでいないことが判明した場合、書類成績を上げることだけに集中して高校生活を送ってきたと見なされ、帰国生入試で採るべき魅力がない、と判断されているようです。


以上で述べたような傾向は東京大学でも見られ、高校が発行する書類などに記載されている成績や筆記試験の結果を充実したものにするだけでなく、面接試験の場で社会的な活動の体験を通じて自分の能動性、創造性を強くアピールできた受験生が高く評価される傾向があるように思われます。また、横浜市立大学のように志望理由書と面接試験の出来によって合否が決定してしまうところや、埼玉大学などに代表される面接試験の配点が大きい大学の帰国生入試では、高校生活で社会的な活動に積極的に参加し、そこから得た体験が豊富にあることを説明し面接試験でよりよい印象を与えることで、合格可能性が広がると考えられます。


さらに、今までに指導してきた生徒の受験結果などを見ると、一部の大学や学部・学科では日本人が滞在する機会の少ない土地に住み、その社会に対する知識を持っていることが有利に働くことがあるということが分かります。例えば、上智大学経済学部経営学科は受験者数が多い一方で合格者数が極端に少ない上に、入試の問題がそれほど大きな得点差がつきそうなものでないため、合否の判定基準が分かりにくいところです。しかし、南米や中東のように、一般的に日本人の駐在員がほとんどいない国々で学んだ人から、例年、1~2人の合格者が出ているようで、実際に今年の生徒で中東に滞在した経験がある人に現地での体験や自分がその国について知っていることを面接試験で前面に押し出すよう指導したところ、面接試験での試験官の反応がよく、無事に合格することができました。高校生活での社会的な活動は滞在地の社会の成り立ちに関する理解を深めるよい機会になりますので、上のような条件に該当する人はそれをできるだけ活かすべきと言えるでしょう。


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