帰国生大学受験セミナー通信vol.34 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.61―

(2013年2月12日 16:50)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、SOLの帰国生大学受験セミナーでは、教師が学問的な事項について話をする時に、それを楽しんでいる姿をできるだけ生徒に見せるようにしていることを説明しました。これは、周囲の大人の様子によってある行動を取る意義や価値を学習するという子どもの特性を考えてのことですが、今回の記事では、何かを学ぶことに対して積極的な姿勢を維持できることが帰国生入試やAO入試の受験準備において重要であるという点に関する補足をしておきたいと思います。


先日実施された今年度のセンター試験の国語では小林秀雄のエッセイが出題され、それが平均点を過去最低の101.04点(200点満点)に引き下げる主な要因と考えられているようです。読売や朝日、毎日といった主な新聞のこの件に関する記事を読むと、小林秀雄の文章が難解なものが多く、以前からセンター試験の問題としては不適であると指摘されていたこととともに、受験生が過去問の傾向と異なったことで大きな戸惑いを感じたことが述べられています。このような記事を読むと、今回のセンター試験の国語で平均点が大きく下がったことは、日本の大学の一般入試対策は予備校や塾が各大学、学部・学科の出題傾向を分析し、それに重点を置いた形で行なわれることで、受験生が学習の範囲を広げようとしなかったことの結果と解釈することが可能なようにも思われます。


帰国生入試やAO入試の小論文試験では、問題文の内容や出題の形式において一定の傾向が見られるものもあります。例えば、一橋大学は社会科学の研究や学習のあり方に関する文章を好んで出題しますし、説明問題を1、2問と1200字に字数制限が置かれた小論文を書くものが1問という形式が多く見られます。また、年度によっては先般の東日本大震災や原子力発電所の事故のように、多くの学問分野で考察を深めるべきテーマを伴う大きな出来事があり、問題文のトピックがそれに集中するということもあります(その出来事などを前面に押し出して論じるものだけでなく、昨年の明治大学国際日本学部で出題された、日本人と欧米人の自然観や科学技術に関する評価の違いに関する寺田寅彦の文章のように、明らかにそれを意識したものを含みます)。


しかし、多くの場合、小論文試験で出題される文章の内容は大学や学部・学科ごとに出題傾向を捉えるのが難しいほど多種多様なものですし、出題形式が年度によって大きく変化することも珍しくありません。これに加えて、学部・学科単位で問題が作成される場合でも、それがそこで扱われる学問に関するものであるとは限定されないこと(比較的入手しやすいものでは中央大学商学部の過去問を見ると、この点を確認できるはずです)を考えると、小論文試験に向けた学習を行う際には、自分の関心分野や理解できる事柄、読解可能な文章の範囲などを広げていこうという姿勢を持つことが重要になります。つまり、上で述べたような一般入試対策においてそれを指導する側や受験生に見られる学びに対する消極的な態度で学びに臨むというのでは、受験準備を十分なものにすることにつながらない可能性があるということであり、理想的な形で学習を進めていけるようになるには、新しい物事や視点を習得することに楽しみを見出せることが最も効果的だということです。この点でも、前回の記事で述べたような雰囲気作りが重要になるのだと思います。


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