北半球の高校生の受験準備に関してvol.29 ―帰国生大学入試についてvol.171―

(2013年5月14日 19:05)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、アメリカ以外の英語を主な使用言語とする教育制度(IB Diplomaコースを含む)を卒業予定で日本の大学に帰国生入試やAO入試を通じて入学することを考えている場合に、英語運用能力がTOEFL iBTで80点を超えない水準にあったとしても、大学入学資格を取得できる可能性があるのであれば、その最終試験に向けた準備に力を入れるべきということを述べました。このようなケースでは、最終試験が終了したらすぐに英語運用能力を向上させるための直接的な取り組みを始めてもらえればと思います。


さて、アメリカの教育制度とは異なり、上で述べたような最終試験に臨むにはそれまでの高校での学習において一定の条件を満たさなければならないというのが一般的です。例えば、IB Diplomaコースでは11年生になる以前の段階でDiplomaコースに入るための学力があることを示した上で、高校生活最後の2年間でその規定に従って6科目の授業を履修しなければなりませんし、カナダのオンタリオ州の教育制度では大学入学資格取得のために必要な4Uや4Mに分類される科目の最終試験を受けるには、最終学年に入る前に基礎的な科目の単位を取っていることが求められます。このような教育制度の下で学ぶ人の中には、英語運用能力が順調に伸びていないことが原因の一つとなり、大学入学資格を得られない人が少なくありません。


日本の大学の帰国生入試やAO入試において、大学入学資格取得のための最終試験の成績が合否判定に直接的な関連を持つ大学は少数派であることは前回の記事でも述べましたが、出願資格を得るための条件として大学入学資格に関するものを定めている大学もそれほど多い訳ではなく、都内の難関私立大学で言えば、早稲田大学やICU、それに加えて明治大学の一部の学部に限定されます。よって、大学入学資格が取れなかった場合でも学部・学科の多様さや教育水準に関して十分と言えるレベルの大学への入学を諦める必要はありませんし、実際に僕らが指導してきた生徒でも上智大学や中央大学、立教大学などで充実した学生生活を送っている人が多くいます。


これらの大学の帰国生入試やAO入試の筆記試験は小論文試験のみで構成されるものもあるものの、小論文試験と外国語試験の2つの試験があるものや、小論文試験の結果にTOEFL iBTやTOEICなどの大学指定の外国語運用能力試験のスコアを加えて合否を決めるというものがほとんどです。小論文を書く力は、日本語運用能力に特別な問題がなく適切な学習環境で学ぶことができれば、2、3ヶ月で入試に対応できるレベルになるのに比べると、英語について学習した事項が定着するのには長い時間がかかりますし、TOEFL iBTなどの結果が大学に送る手続きを取ってから実際に届くまでの期間は最低1ヶ月を見ておいた方がいいことを考えると、今回取り上げた学習状況にある人が今年度の受験を予定しているのであれば、高校卒業までの間は英語の学習に専念する必要がこれまで紹介してきたケースに比較してより高いということになるのだと思います。


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