今年も青谷准教授のセミナーに参加してきましたvol.2 ―英語学習の勧めvol.123―

(2013年5月2日 19:00)

こんにちは、SOLの余語です。
前回の記事では、3月下旬に京都大学国際交流センターの青谷准教授によるTOEFL iBTのスコアアップのための学習法に関するセミナーに参加してきたということをお伝えしました。青谷准教授のお話では、TOEFL iBTは言語学的な研究の成果を最大限に活用しながら作成されたテストで、その受験のための学習は英語運用能力の向上に直結するということですが、英語以外の言語を母語とする人にとっては学習を進める際に注意すべき点がいくつかあるようです。帰国生や海外生でも脳が英語を母語として認めるための条件を満たすことができていないというのが通常ですので、これから数回の記事ではセミナーで教わってきたことをお知らせしたいと思います。


TOEFL iBTの対策学習において考慮すべき点として話されたものの中で、海外の高校で学ぶ人にとって最も重要だと考えられるのが、英語運用能力の向上には英語を使用する体験を蓄積するだけでは十分とは言えず、文法や単語、表現といった知識的な側面の学習にも力を入れるべきということです。日本では現在、英語圏のネイティブが担当する授業を中心に据えるなど、英語によるコミュニケーションを重視する形で英語教育のあり方が改編されていますし、「英語は勉強するものではない」ということをアピールポイントとする教材に注目が集まっています。また、このような状況が出来する以前に、英語という日本語とは大きく異なる言語に囲まれる環境で生活しているという事情が大きく作用して、英語の基礎的な成り立ちや単語・表現などの学習が疎かになってしまうという傾向が帰国生や海外生では見られます。


しかし、前回も述べたように人間の脳にはそこで母語と認識されていない言語を話したり聞いたりする時間を持つだけで文法や語法を正しく習得する能力はないと脳科学の分野では考えられていますし、日常生活の中で出会う単語や表現は限定的なものであり、会話の80%は単語の数で言えば500語程度の知識があれば理解できるのに対し、この世界に存在する全ての文章の80%を不自由なく読むには2000語、TOEFL iBTで出題されるような学問の初歩的なものに対応するには7000語以上の語彙量が必要とされるというのは英語学研究の分野で確認されていることです。このようなことを考えると、英語圏の教育機関で学んでいる場合でも、英語の知識的な側面に関する学習を行うことが求められるのは当然のことだと思われますし、海外での滞在経験が長いにもかかわらずTOEFL iBTのスコアが90点以上にのらないという人が少なからずいることは学習的な取り組みの必要性が実際にあることを示していると考えられるでしょう。


具体的にどのような形で文法や語彙に関する学習を進めるべきかについては、直面している問題は何かということやこれまでの学習履歴によって答えは様々です。このため、TOEFL iBTのスコアが順調に伸びていない人にはできるだけ早く現時点での理解の水準や今後の学習プランについて確認する機会を持つべきです(SOLでは個別授業やメール、スカイプを用いる形でこのような指導を行っていますので、関心のある人はこちらから連絡してください)が、中には遠隔地に住んでいるなどの事情でそれが困難であるというケースもあるかと思います。そのような人のために次回以降の記事では自分で学習するための教材をいくつか紹介したいと思います。


それでは、今回の内容について、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


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