北半球の高校生の受験準備に関してvol.32 ―帰国生大学入試についてvol.174―

(2013年5月22日 15:25)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語圏の国々の教育制度を採用する海外の高校で学んでいる中で英語運用能力を順調に伸ばせなかった場合(例えば、TOEFL iBTのスコアが80点以上に達しない)、高校卒業後に日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験準備を行う環境を選択する際に、個人個人が英語学習に関して直面している問題に細やかな対応してくれるのかどうかが重要な基準になるということを述べました。これは、上のような学力の状況にある人が克服すべき課題には様々なものがあるためで、充実した受験生活を送りたいのであれば、個別的な配慮がなされるような体制作りがなされているのかを確認すべきです。


さて、帰国生入試やAO入試の英語試験で合格に必要な点を取るために必要な英語運用能力が習得できていないケースでは、受験準備を行う環境の選択に関してもう一つ注意すべき点があります。日本の予備校や塾では、受講者の数が多くなると、同程度の学力を持つと判定された人たちを集める形でクラス分けが行なわれるのが一般的です。このような運営体制が、教師による学習指導の必要性が高い「学力が低い」と判断された受講生に質の高い教育を受けられる機会を与えられるものになっている場合には大きな問題はないのですが、他の予備校や塾からSOLに移って来た生徒からの情報を総合すると、実態はそうではないということが少なくないように思います。


例えば、昨年の生徒に限定しても、大手の予備校で夏まで授業を受けていたものの、ある時に実施された学力試験の結果、英語の授業を下から2つ目のクラスで受講することになり、そこでは英語運用能力を伸ばすことが難しいという判断をして(教師の顔ぶれや以前にそこで学んだ人からの評判を基にしたのでしょう)、秋からSOLに通うことにしたという人がいます(この生徒は残念ながら最終的な志望校には落ちてしまったものの、以前は自分が意味を理解できる単語を抜き出して、話の筋を推測しながら英文を読んでいたが、最後の受験では単語と単語の間の関係を明確に認識する形で読み進めることができるようになったと言ってくれて、大学入学後も機会があると教室に顔を出してくれます)。また、国立大学の入試が迫った時期には、ある予備校で社会的な評価が最も高い大学を受験する人のエッセイは1、2日で添削が終わって返却されるのに、それ以外の大学の受験者のものは1ヶ月経っても返ってこないと嘆いている人がいるという話も聞きました。


僕自身は大学受験の際に大手の予備校ではなく、高校の近くにあった小論文と英語の指導を専門とする少人数制の塾に通っていたため、以上のような話がどの程度本当のことであるのかを評価する材料を持っていません。しかし、中学受験をした時には一般的な知名度のある塾に通っており、当時僕が通っていた校舎の塾長を務めていた人とは大学に入った後も付き合いがあり、そのような経験の中で見聞きしたものからすると、実際にあり得ることなのだと思いますし、昨日NPOの認証に関して相談に行った事務所の担当者に非営利的な活動として教育に携わることの意義について話した際に、上のような事例を引き合いに出したところ、深く納得してもらえたということも事の真相の是非について何らかの示唆があるものだと考えられます。


仮に、今回の記事の内容が真実であるとするならば、受験準備を本格的に始めた段階で英語運用能力が低い人が学力によってクラス分けがなされるような環境で学んだ場合には、その潜在能力が十分に開花しないことになる可能性(=潜在的な学力に見合った大学で学ぶ機会を失う可能性)があるということになります。予備校や塾を選択する際には、学力によるクラス分けがあるのか、それはどのような趣旨で行なわれ、下位のクラスで学ぶことになっても質の高い学習サポートが行なわれるのかといった点を、それぞれの入塾に関する担当者だけでなく、以前にそこで授業を受けた経験のある人にも確認するにしてください。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


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