小論文の授業で扱った問題文の内容について(2013年版) vol.1―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.69―

(2013年8月20日 19:45)

こんにちは。SOLの余語です。
SOL帰国生大学受験セミナーは、6月24日に集団授業が始まってから9週目に入りました。今年の生徒は、例年と同様に積極的に学習を進めるだけでなく、自分達で昼ご飯を作ったり、誕生日を迎えた教師や同級生のパーティーを工夫して行なったりするなど、活発に毎日を過ごしているので、僕らにとっても大きな刺激を与えてくれる存在になっています。


さて、帰国生大学受験セミナーの小論文授業では、現在の帰国生入試やAO入試の小論文問題で一般的な出題形式となった、学者や専門家の書いた文章を読んで、そこで扱われたトピックに関する自分の考えを述べるという読解論述問題に取り組む(実際に文章を書くのは授業時間外で、授業ではその解説を行っています)形を採っています。問題は僕らが作成したものが主ですが、問題作成時には生徒に思考の幅を広げてもらうために、よく知られている社会問題に関して一般的ではない主張をしているものや、各学問や人間存在の根幹に関わるものを取り上げるようにしています。例えば、7月30日から8月9日までの全ての生徒が共通して受講する小論文授業で教材となったものの概要は以下の通りです。


・日本の自然環境は多彩な要素で成り立っている上に、その様子が時々刻々と変化している。そして、「慈母」のように生活に必要なものを与えてくれる豊かさがある一方で、「厳父」のように天変地異の災禍を生じさせる厳しさも持っている。このような中で日本人は自然の環境に適応することに努めてきたが、現代では西欧科学を輸入し、天災の回避よりもその克服に重点を置くようになったことを批判するもの


・生産活動のあり方を分析する上では「技術」と「技能」を区別すべきであり、その2つの違いは「マニュアル化できるか」ということにある。前者が見られる現場においては労働者がマニュアルに沿って作業をすれば製品を作ることができるのに対し、後者の場合は科学的な知識や試行錯誤の経験に支えられた臨機応変に判断し行動する能力が求められるということを主張するもの


・ヨーロッパと日本の間で見られる窓や扉の開口部の開閉の方向性の違いには、海が天然の要塞となる日本と異なり、ヨーロッパでは他民族の侵入が繰り返されたため、防衛に有利なように外から押すことで開くという形になっているなど、深い生活の知恵が関わっているだけでなく、ヨーロッパの文化がキリスト教に代表される発信型であるのに対し、日本文化は古代から外来文化を導入することを繰り返してきたことで受信型となったという違いが背景にあると述べるもの


・日本社会における少子化は、現在の自然環境・社会環境にとって負荷が重すぎ、社会の構成員全員に十分な資源を分配することができないということが実感された表れであると同時に、親族や地域社会、企業などへの帰属を「自己決定・自己実現」の障害要素とみなす様々な言説によって広まった「個人の原子化」によるものだということを述べるもの



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