2015年度帰国生大学受験セミナーの現場から見えたことvol. 1 ―帰国生大学入試についてvol.229―

(2016年4月15日 14:00)

こんにちは。SOLの余語です。
今年も早いもので4月中旬となり、2016年度の帰国生大学受験セミナーの受講に関するお問い合わせなどが入ってきています。「帰国生大学入試について」というシリーズでは、今回から昨年度の帰国生大学受験セミナーの生徒の受験の様子から見えた帰国生(もしくは、留学経験のある日本の高校生)の大学受験の現状についてお知らせしようと思います。

さて、2015年度の生徒には南半球の国の教育制度を採用する高校を卒業してから受験準備に取り組んだ人が2人いました。1人はオーストラリア、1人は最近、単身留学生が急増しているフィジーの高校に3年間留学していたのですが、以前からこのブログでもお伝えしている通り、これらの国やニュージーランドの高校は卒業が11月や12月といった時期となるため、高校に通いながら日本と滞在している国を行き来する形で受験をしなければなりません。北半球の国にある高校で学んでいる人は5月や6月に高校を卒業してから入試までの期間を受験準備に専念できるというのに比べると、南半球の国の高校に通っている人は不利な状況に置かれていると言えるでしょう。

また、今後の記事で詳述しようと思いますが、帰国生が受験する入試制度では英語の試験を廃止し、その代わりにTOEFLやTOEICといった英語運用能力を測る試験のスコアの提出を求める大学が増えています(とは言え、全ての大学でこのような試験のスコアが合否に直接関連しているわけではありませんが)。しかし、オーストラリアやニュージーランドでは、現地の人の家庭にホームステイをする人が多いため、英語を日常生活の中で使う経験を蓄積することができる一方、生徒の渡航時点での言語能力や学習環境によってはアカデミックな英語力を伸ばしにくいケースも多く見られます。このような状況から上で挙げたような試験のスコアが十分に伸びないという人が少なくありません。

フィジーに単身留学した人を指導したのは昨年度の生徒が初めてで、僕らも学ぶことが多くありました。まず、この国に単身留学する人も現地の人の家庭にホームステイするというのが通常のようですが、オーストラリアやニュージーランドと違い、家庭内の会話のほとんどがフィジー語やヒンドゥー語(元々、イギリスの植民地であったこともあり、フィジーには多くのインド系の移民が住んでいるそうです)でなされており、英語での日常会話はそれほど頻繁に行われないようです。さらに、高校の授業での主要な使用言語が英語であるものの(「フィジーの農業」といった専門用語を英語に訳すことが難しい授業はフィジー語で実施されるそうです)、授業で使われるような水準の英語を身に付けるためのサポートがないので、ここでも英語運用能力を伸ばすことは難しいと聞いています(ただし、この国に滞在することにはここで述べた問題があるものの、欧米文化の社会や日本のようにその影響を受けたところではなかなか得られない文化的な体験ができるという点では貴重なものだと思います)。

南半球の現地校を卒業してから本格的にSOLで受験準備を始めた2人の生徒は、これまでに述べた状況の影響を受け、高校卒業時までには英語運用能力が十分に伸びず、合格可能性が高いと判断できる大学が限定されてしまいました。そのため、高校卒業の翌年度の受験を選択したわけですが、彼らがどのような受験生活を送ったかについては次回の記事で述べたいと思います。

それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームやこちらよりご連絡ください。
【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

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