2015年度帰国生大学受験セミナーの現場から見えたことvol. 3 ―帰国生大学入試についてvol.231―

(2016年4月29日 15:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、昨年度の帰国生大学受験セミナーの生徒で、フィジーやオーストラリアの高校を卒業した翌年度に大学受験をすることを選択した2人について、帰国生入試に限定しても、高校卒業から大学入学までの期間が2年以内なら出願資格を得ることのできる場合が多いため、受験する大学を決めるのに大きな問題がなかったということを述べました。これは北半球の高校を卒業した場合でも変わらないことですので、自分が高校を卒業した年度に合格した大学に満足できない人は次年度に受験するということを考えてもいいかもしれません。

さて、ここまで2回の記事の主役である2人が受験することを決めた大学は、高校卒業後から大学入学までの期間については問題がなかったものの、TOEICやTOEFLといった英語運用能力試験のスコアに関する出願資格を得るための条件がありました。2人ともTOEICを受験することでこの条件を満たすことを選び、2014年12月から800点前後を目標として学習に取りかかりました。

フィジーに単身留学していた生徒は、「帰国生大学入試についてvol. 229」でも述べたとおり、非英語圏と言ってもよい生活・学習環境において自分一人でコツコツと学習し、TOEICのスコアを600点ぐらいまで上げていました。しかし、その独学の中で、例えば単語帳に日本語で記載されている意味を全て覚えるために時間を使ったり、同じ問題集を何度も解いて答えをただ記憶しようとしていたり(独学で、教えてくれる人が周りにいなかったので仕方ないですよね)と、効率が悪く英語に対する理解が深まらない形で学習をしていました。そのまま学習を進めていたのではスコアアップが期待できないので学び方を変える必要がありましたが、もともと性格的に頑固であった上に、フィジーにいた時に一人で学習を進めてきたことに対する自負があり、そのようなことを実現するのは簡単なことではありませんでした。しかし、こちらが文法の問題について答えを選んだ理由を説明するよう何度も促したり、それまでの単語の覚え方には限界があることを示したりする中で、徐々に学習に対する姿勢が変化し、最終的に765点までスコアを伸ばすことができました。

一方、もう一人のオーストラリアの高校を卒業した生徒は、10年生から留学しており海外での滞在期間が3年間でしたし、在籍した高校に英語を学ぶための特別なサポートもありませんでした。また、スポーツ選手としての能力を高めることが留学の主な目的だったため、英語を外国語として体系的に学ぶということ自体をやっていなかったので、日本に帰国してきた時のTOEICのスコアは500点台前半というものでした。しかし、単語帳やTOEICの問題集に取り組んだり、僕らが英文法に関する解説をするのを聞いたりしているうちに、オーストラリアでの日々の生活で感じていた英語に関する疑問が次々に氷塊していく実感があったようで、2014年12月から2015年6月にかけての期間は日々、学習に対するモチベーションが高まっていったようです(3か月間で単語を3,000個以上覚えているのを確認できた時はこちらも驚きました)。その結果、TOEICのスコアを800点弱というところまで伸ばすことができ、こちらも志望している大学が要求する水準を満たすことができました。

今回のものを含めた3つの記事で取り上げた2人の生徒はそれぞれ異なる問題を抱えていたものの、長い学習期間を確保することでそれを克服することができ、夏期の授業の後に入学を目指していた大学も受験することが可能となりました。このように、受験する大学について可能性が広がるということが、高校を卒業した次の年度に先送りすることを人によって僕らが勧めている理由ですが、帰国生入試やAO入試の受験のために長い期間学習することには他にも良い点があるようです。次回はそれについての記事としたいと思います。

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