単語の学習について vol. 1 ―英語学習の勧めvol.156―

(2016年6月14日 17:10)

こんにちは。SOLの余語です。
「英語学習の勧め」というシリーズでは、前回まで英語学習で用いる電子辞書に求められる条件を検討し、それを全て満たすものを紹介しました。辞書は単語の意味の確認だけでなく、イディオムを調べたり例文を見ることで実際にどのような形で単語などが使われるのかを確認したりできるという点で、語学学習の要です。より充実した学習成果を出したいのであれば、電子辞書もその目的に最も適合したものを選ぶ必要があると言えるでしょう。

さて、このブログの別の記事で、日本の大学の帰国生入試やAO入試では最近、TOEFLやTOEIC、IELTSといった英語運用能力試験の成績が重要になってきていると述べました。これらのテストでスコアなどがなかなか伸びないケースでは、英語を使用する経験が十分に蓄積されていない、英文法の基礎的な事項が十分に理解できていない、もしくは母語である日本語の運用に何らかの問題があり、単語の表している意味を英和辞典で調べても吸収できなかったり言語が規則的に運用されていることに考えが及ばなかったりするなど、言語運用能力を高めることを妨げる様々な要因が存在するのが確認できます。しかし、どのようなケースでも共通して見られるのが語彙力の不足です。

語彙力を上げるための学習は、熱心に取り組んだとしても目に見える成果が短期的に見えづらいものですし、その初期段階では単語の意味をただただ暗記するしか手立てがないものです。このような特徴を受けて敬遠したり後回しにしたりする人は少なくないと思いますが、文は複数の単語によって構成されており、それらの意味が分からないと文の内容を正確に理解することができないことが多くなるでしょうし(文章全体の内容に対する知識が単語の意味が分からないことを補ってくれることはありますが、世の中のあらゆるトピックの知識を得ることは母語を用いても不可能なことでしょう)、他の人と話したりエッセイを書いたりする時に語彙力が不足していることが理由で自分が考えていることを十分に表現することもできないということになります。

また、英語で最も頻繁に用いられる単語7000個のうち何個の意味が理解できるのかを測るテストが日本で英語学習について研究している人々の間で開発されています。そして、僕らの生徒でこれに挑戦した人がいるのですが、その成績とTOEFLやTOEICなどのスコアの間には関連性が見られました。例えば、TOEFL iBTで100点以上のスコアを取っている場合には、最頻出の7000語のうち98%以上をカバーしていることが多く、80点以下では意味が理解できるものが5000語程度であることが一般的です(ライティングやスピーキングのように自分が既に知っている知識だけで勝負できるパートのスコアで得点の大半を稼いでいるケースでは語彙数がもっと少ない人もいます)。このようなことを踏まえても、語彙力向上のための学習は英語学習の中でも行う必要性が最も高いものの一つだと言えると思います。

これからこの優先度の高い学習についていろいろと考えてみたいと思いますが、まず次回の記事では、学習の方法などについて述べる前に、その目標とすべき水準について考えてみたいと思います。

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